フォーカスライトの最新トラベル調査レポート「数字が語る中国オンライン旅行市場概要2019」によると、中国のオンライン旅行市場の規模は、2018年実績で447億ドル(約4兆9170億円)に達し、今や世界第2位の規模を誇るようになった。1位の米国は同771億ドル(約8兆4810円)だが、前年比の成長率を見ると、中国は米国の4倍以上で27%増と勢いがある。
そもそも中国では旅行マーケット全体が大きく成長中。それに伴い、OTA市場も拡大しているが、これに加えて、OTA各社が積極的な新規顧客の開拓を進めていること、さらに旅行経験が豊富な利用客層のシェアを増やしていることも奏功している。
中国OTA市場の覇者はシートリップだ。同社は2015年、オンライン上のライバルだったチューナー(Qunar)とイーロン(eLong)を買収して以来、圧倒的な強さを誇る。現在は、これら3つのブランドに加え、スコットランド拠点のメタサーチ「スカイスキャナー」を展開している。しかし競合他社からのプレッシャーも増している。例えばアリババ系列の旅行サイト「フリギー(Fliggy)」は、プラットフォームモデルを採用。出店する各社がそれぞれ独自にストア展開しており、この方式が支持されている。
米系のエクスペディアやブッキングドットコムも、中国市場の取り込みに力を入れており、特にブッキングはブランド認知度アップに多額を投じている。グローバルOTAである両社は、地元中国のトラベル系ソーシャル・アプリ、例えば観光旅行の人気クチコミ投稿サイトである馬蜂窩(マーフォンウォー)と提携することで、中国人ユーザーからの予約獲得につなげようとしている。そのほか、フードデリバリー大手の美団(メイトゥアン)は、食品や「各種リテール業に続き、ホテル予約サービスにも参入している。
活発な競争は、OTA成長のエネルギー源でもあるが、旅行者にアピールするための割引合戦というコストも懸念される。中国の場合、OTA予約の増加分は、ほとんどがスマートフォン経由というのも特徴的だ。あらゆる小売り販売において、モバイル端末が中心的な役割を果たしており、旅行も例外ではない。マーケットが成熟するのに伴い、成長率は鈍化していくものだが、2022年までは、引き続き大きなプラスで推移していく見込みだ。そのころまでに中国のOTAマーケットは、米国に匹敵する規模になると予測している。
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China Online Travel 2019: By the Numbers(英文)※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が公開した英文記事について、同社との提携に基づきトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。