JTBは「年末年始(2019年12月23日~2020年1月3日)の旅行動向見通し」で、国内旅行と海外旅行をあわせた延べ人数は、前年比2.0%減の3002万8000人となる推計を発表した。
海外旅行は0.3%増の76万2000人で過去最高の予想だが、国内旅行が2.1%減2926万6000人で伸び悩む見込み。今年の年末年始休暇は、12月28日(土)~1月5日(日)まで9連休が可能で旅行に出かけやすい日並びだが、消費者を対象にした旅行動向アンケートで期間中の旅行(帰省含む)の有無を聞いたところ、「行く」(11.1%)と「たぶん行く」(8.9%)の合計は20.0%で、前年より3.5ポイント減と旅行の意欲は低下している。
また、生活や年末年始の過ごし方では、収入やボーナスが「減った」の回答が「増えた」を上回っており、年末年始は「旅行日数を減らす」「質素に過ごす」など出費を控えめにする傾向が見られた。
総旅行消費額も6.9%減の1兆904億円で、国内旅行は7.9%減の9365億円、旅行人数ではプラスを予想する海外旅行が0.7%減の1539億円と減少する見通しを立てている。
旅行動向アンケートでも、「今後の旅行支出に対する意向」で、「支出を増やしたい」(13.6%)は2.5ポイント減と減少したのに対し、「支出を減らしたい」(33.4%)は1.5ポイント増加。「同程度」(53.0%)も0.9ポイント増で、JTBではこの先の旅行支出について減らす意向が強いと見ている。
海外旅行:韓国と香港は2ケタ減、北米や欧州、豪州なども増加
海外旅行の出発日のピークは12月28日(土)。方面別では韓国は17.4%減の10万9000人、香港は26.2%減の3万1000人と大幅な減少を見込むが、台湾や新規就航の続くベトナムなどのアジア諸国は増加傾向。また、航空機の座席が増加している北米や豪州、欧州も増加を予想する。
JTBの予約状況では、1位ハワイ、2位グアム・サイパン、3位台湾の順。特にグアム・サイパンの伸び率が高い。また、欧州はイタリアやスペインなどの南欧、アジアはベトナムが人気だという。
国内旅行:家族連れは「夫婦のみ」が増加、公共交通機関へのシフトも
アンケートによると、国内旅行の同行者は「家族連れ」が65.2%と最多だが、その内訳は「夫婦のみ」(24.8%)が増加し、子連れや母娘、3世代旅行などは減少。利用宿泊施設は「ホテル」(36.0%)のほか、「夫や妻の実家」(27.9%)も増加しており、夫婦のみの旅行でホテルや実家を利用することが多いことが、増加要因としている。
また、移動手段では乗用車(52.7%)が最多であるものの、新幹線や在来線、航空機などが増えており、子連れ旅行の減少に伴い今後は、公共交通機関の利用が増えると見ている。
JTBの予約状況では、12月31日の予約を中心に分散傾向に。予約の間際化が進んでいることから、これからの予約も多くあると見込む。好調なエリアは伊勢志摩方面。観光庁が台風15号、19号の被災地域に対する「ふっこう割」を発表していることから、これら地域への需要喚起も期待している。