国連世界観光機関(UNWTO)は、エジプトで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)で、観光関連団体を集め、持続可能性への移行をさらに加速し、CO2実質排出量ゼロに向けて実践的な取り組みを共有していくことを確認した。
前回のCOP26で「観光における気候行動に関するグラスゴー宣言」が発表されて以降、700社を超える企業、観光地、市民社会グループ、国家がこの宣言に署名。2030年までに炭素排出量を半減させ、遅くとも2050年までに排出量実質ゼロを目指すことを約束している。
COP27のイベントでは、各国・団体によるロードマップが紹介されたほか、再生と資金調達についても事例が共有された。
UNWTOエグゼクティブディレクターのゾリツァ・ウロセビッチ氏は、「資金の調達や測定フレームワークの開発は、回復力を高める気候変動対策を加速するために重要」とコメント。
国連開発計画(UNDP)のアラブ諸国事務次長補兼地域局長であるハリダ・ブザール氏は「観光セクターにはリセットが必要。持続可能な観光モデルへの移行には、団結した努力が求められる。UNDP はそれを支援していく」と述べた。
また、世界銀行開発政策およびパートナーシップ担当マネジングディレクターのマリ・パンゲストゥ氏は「2050年までの実質排出量ゼロの達成は、観光業界にとって依然として野心的な目標で、さらに多くの資金が必要となる。しかし、観光における気候変動対策への投資は、グリーンかつレジリエントで包括的な開発への投資になる」と話した。
COP27でUNWTOは、国連気候変動枠組条約の枠組みのなかで初めて、観光と持続可能性に関する委員会を招集。加盟国は、観光における気候行動に関する基礎レポートや観光におけるCO2排出量の測定に関するガイダンス資料、UNWTOが取り組んでいる「One Planet Sustainable Tourism Program」 での協力機会などについて話し合いが行われた。