ミキ・ツーリスト、欧州の現地ツアーでハイエンド向けの新ブランド、台頭する若年層旅行者に体験価値を訴求

ミキ・ツーリストは、ヨーロッパ個人旅行で新ブランド『[みゅう]プルミエ』(以下、プルミエ)を立ち上げた。「心躍る旅の時間」をコンセプトに、その土地、その時間ならではの魅力に触れるハイエンドの個人向け現地ツアー・体験プログラムとして提供。旅行者にとって一番の時間を過ごしてほしいという思いを込めて、ブランド名にフランス語で「一番の、初めての、最高の」を表す「プルミエ」を付けた。

代表取締役社長の福井茂氏は、「価格的なハイエンドではなく、ここでしが味わえない食事や絵画・芸術などの体験を組み込んだ商品群。従来の海外旅行の主力客層の動きが鈍いなか、比較的活発に動いている目的意識と感度の高い客層に向けて、現地の体験価値を訴求しようと立ち上げた」と説明。2023年3月から一部商品の提供を開始したところ、すでに問い合わせや予約、旅行会社のツアーへの組み込みなどの反応があり、「非常に手ごたえを感じている」とアピールした。

商品の一例をあげると、フランス・パリ郊外ジベルニーの「モネの家」とミシュランの星付きレストランでの昼食を組み込んだ日帰り商品では、人気の「モネの家」を比較的空いている朝に訪問。「睡蓮の庭」での滞在時間を長めにとり、その後、ミシュランの星を獲得したレストランで、セーヌ川の絶景を見ながら季節の食材を使用した昼食の時間を過ごす。同社では従来から混乗バスで「モネの家」を訪れるツアーを出しているが、現地でゆっくり過ごしたいとの要望が多く、「そういう客層に向けて出した商品」(FIT営業部企画Web販売課リーダーの山本真充氏)だという。

プルミエは、まずは30カ国40コースで展開。今年度中に80コースに広げ、2025年には300コースに拡充する予定だ。ほとんどのツアーに専用のチャーター車と専任の日本語ガイドまたはエスコートをつけており、平均価格は800ユーロ(約12万円)程度。「上質なアクティビティを適正価格で提供する。高すぎるという声があるかもしれないが、価値観は人それぞれ。航空座席もビジネスクラスが好調であり、そういう客層にマッチする商品を提供する」(山本氏)と説明する。

2022年10月の水際対策の緩和後、動き出した日本から欧州への旅行市場は、50~70代のシニアに代わり、20・30代の若い世代が台頭。山本氏によると、同社の若い世代の旅行単価は、コロナ以前に比べると3倍程度に増えている。「海外旅行ができなかった時期に、コロナ後の旅行に向けて情報収集をしていた人が多かったと思う。全体のパイは減っているが、当社は目的をもって旅行旅行をする客層に強みがある」と山本氏は自信を示す。

ミキ・ツーリスト代表取締役社長の福井茂氏

ミキ・ツーリストでは以前から欧州のプライベートツアーを販売している。それでも今回、「プルミエ」を新ブランドで出したことについて「定型商品とすることで、販売店である旅行会社や消費者にも、こうした企画のツアーがあることが分かりやすくなる。コロナ禍で打撃を受けた海外旅行の活性化につなげたい」(山本氏)という狙いもある。

FIT営業部次長の吉田圭介氏は、個人旅行者はもちろん、業務渡航やMICEの自由時間での利用など、幅広い客層や旅行形態への販売を見込む。ブドウ畑での朝食と散策、ワイナリーでの見学と試飲をするツアーでは、空港で離団するプランも設定。現地発15時~18時台のフライトで帰国する場合でも「旅程の最後に組み込めば、最終日のプラスアルファを提供できる商品になる」とアピールする。

まずは新ブランドを業界に浸透させ、今年度は集客500名を目指す方針。今後は、みゅうバスや現地発宿泊付きパッケージツアー「プチ旅」など、従来型商品も市場動向にあわせてリリースしていく。来月4月には東京と大阪で、旅行会社向けにプルミエと2023年度の商品の発表会を開催する予定だ。

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