観光庁はこのほど、2022年度に取り組んだ「宿泊施設を核とした観光地のDX推進に向けた実証事業」の成果を公表した。各宿泊施設がさまざまなITツールを導入する一方、事業者内の活用にとどまり、データを活用した分析・戦略に基づく地域全体の施策にまで進んでいない課題解決を目指したもの。全国で11事業が選定され、その取り組みや成果を公表することで、地域の収益最大化、宿泊客の利便性向上の横展開を図る。
一例として、栃木県の那須地域は今後8年で約4000人の人口減少が見込まれ、経済を維持発展するためには、宿泊単価や現地消費額、宿泊者数の増加が不可欠との課題をもとに、宿泊施設のPMS(ホテル管理システム)を連携させて需要予測するとともに、共有するシステムの開発に取り組んだ。
具体的には各宿泊施設が導入するPMSとレベニューマネジメントシステムを連携させ、データの集約、エリア内での宿泊動向の可視化を実施。複数施設の参画、エリア実績ダッシュボード項目の合意といった成果が得られ、今後はビッグデータを活用した最適な宿泊価格の自動提示や、新たなデータ基盤の構築を検討する。
また、静岡県沼津市は、スポーツ市場誘致のためのワンストップサービス構築に向けたDX事業を実施。背景には、市内宿泊施設は個人客の宿泊予約のリードタイムが短いため、先に低単価の団体予約を受けてしまう機会損失があった。そのため、観光協会が各宿泊施設の予約データを収集するシステムを開発。地域全体で受け入れ可能な宿泊者数の表示、スポーツ団体による宿泊施設の問合わせから予約までの円滑化、 直近の混雑状況を表示できるサイト構築などを実現した。
このほか、成果として公表された地域の事例は以下から参照できる。