オーストラリア政府観光局、日本人旅行者の回復順調、2024年中に2019年レベルへの回復見込み、長野で過去最大規模の商談会を開催

オーストラリア政府観光局(TA)は先ごろ、長野県長野市で商談会「オーストラリア・マーケットプレイス・ジャパン2024」を開催し、日本市場に向けて旅行先としての存在感と魅力を強力にアピールした。来日しプレスインタビューに応じたTAアジア地区・航空担当副局長のアンドリュー・ホグ氏は、「2024年中に2019年並みの年間50万人への回復を見込んでいる。オーストラリアの日本への期待は大きい」などと力を込めた。

海外旅行市場全体を大きく上回る回復

直近の2024年6月までの12カ月間(2023年7月~2024年6月)の訪豪日本人客数は、2019年同期比27%減の36万130人。6月単月では2019年同月比17%減の2万310人とコロナ禍前の2割減の水準で、日本人出国者数全体の同39%減と比べて戻りが早い。また、7月も同23%減の3万3240人で、日本人出国者全体の37%減と比べ、大きく回復している。その理由についてホグ氏は、「欧米に比べ、円安の変動幅が少ない点も大きい」と話し、リピーターの多さ、ワーキングホリデーなど若年層が好調であることも挙げた。

オーストラリアから日本へのインバウンド人気もあり、航空座席供給量が2019年比49%増で推移していることも背景にある。2025年2月にはヴァージン・オーストラリア航空が羽田/ケアンズ線を撤退することが決まっているが、「小型機による運航で座席数全体に占める割合は約5%にとどまり、影響は軽微」(ホグ氏)。2024年冬ダイヤから全日空が成田/パース線を再開、日本航空が成田/メルボルン線を増便するなど今後も見通しがよい。ヴァージン・オーストラリア航空の撤退に伴う他の航空会社による羽田空港のスロット確保、新千歳など運休したままの地方路線の再開にも意欲をみせた。

TAアジア地区・航空担当副局長のアンドリュー・ホグ氏

アボリジナル、環境保護プログラムなども充実

商談会には、オーストラリアのセラー62社72名、日本のバイヤー61名が参加。前回2022年に東京で開催した際の約1.5倍の参加者で、過去最大の規模となった。航空会社、ホテル、ワイルドライフ・パーク、食などバラエティ豊かな出展の中、とりわけ印象的だったのはSDGsの観点からのアプローチだ。

8月は約8000人を集客したというグレートバリアリーフのツアー催行会社クイックシルバー・グループは、グリーン島環境保護プログラムを実施。グラスボトムボートやアイランド・ウォークに海洋生物学者が同行して説明したり、実際にスペシャリストと海岸清掃をおこなったりするプログラムを用意している。同社営業部長の玉腰順一氏は、「世界遺産に位置するグリーン島での役割のひとつは、来場者に海洋環境の重要性を理解し、手助けをしていただくこと。教育旅行や次世代にも継承していきたい取り組みだ」と話す。

6万年以上にわたる文化を持つアボリジナルの体験ツアーの発信にも積極的だ。アボリジナル・ガイドによる案内を必須とするなど厳しい条件をクリアした事業者だけが参画できるTAの「ディスカバー・アボリジナル・エクスペリエンス」は、自然と動植物、食、アート、都市文化、アドベンチャーなど、数時間から数日にわたる遠征まで185以上を用意。TAディスカバー・アボリジナル・エクスペリエンス、コーディネーターのリズ・ノウルズ氏は「守り手たち自身との出会いを通じて、継承されてきた豊かな遺産や自然を感じてもらえたら」と語る。

また、今後は9月26~29日に東京で開催される「ツーリズム EXPO ジャパン(TEJ)」の出展、10月にパースで旅行会社向けのeトレーニングプログラム「オージースペシャリスト」修了者を対象としたイベント「グッディ オーストラリア」なども予定しており、TAホグ氏は「私たちはプロダクトを充実させるが、造成をはじめ旅行会社との連携がなければ着実に消費者にアプローチするのは難しい」と言及した。

ドラマ、雑誌、消費者向けにもメディア施策次々と

消費者向けでは、TEJ一般日に加え、「CREA Traveller」2024年4月号での100ページを超えるオーストラリア特集、人気ドラマ「ブラックペアン2」1話でのゴールドコースト全面ロケなど露出を急拡大している。

5月から「オーストラリアの世界遺産は“体験”だ!」キャンペーンも実施している。20の世界遺産とその遺産への道中で体験できる色や自然、文化、オージーとの出会いなどを紹介し、旅行者の好奇心を刺激する内容。世界遺産検定1級保持者の芸人、あばれる君をアンバサダーに登用し、実際に世界遺産ウルルを旅したロードトリップムービー公開、イベント開催など認知度向上を図っている。

さらに、2025年大阪・関西万博オーストラリアパビリオンでカンガルーのキャラクター「ルビー」の公式マスコットへの起用、2032年開催のブリスベンオリンピック・パラリンピックに向けたブリスベンでの大型開発、他のスポーツ大会との連動など、全方位から誘客に向けた施策を推進していく考えだ。

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