ANAホールディングスは2025年3月期第3四半期決算を取りまとめた。好調な旅客需要によって、過去最高の売上高を計上し、営業利益も計画を70億円上回ったことから、今後の見通しも踏まえて、通期業績予想を上方修正した。
第4四半期も堅調な旅客需要が続くと見込まれることなどから、通期の売上高は、前回予想から350億円を上積みし2兆2550億円となる見通し。また、費用面では為替影響のほか整備関連費用などの増加が見込まれることから、営業利益は前回予想の1700億円から1800億円に上方修正。経常利益は1900億円(前回予想1700億円)、当期純利益は1400億円(前回予想1200億円)と予想する。
第3四半期決算の売上高は、前年同期比10.3%増の1兆7028億円。国際旅客収入は、好調な訪日需要や、北米、欧州の日本発需要を着実に取り込んだことで、同9.0%増の6012億円となり過去最高を記録。国内旅客収入は、レジャー需要が好調に推移したなどから、同7.7%増の5349億円。座席利用率は第3四半期単体としては過去最高の77%となった。
円安の影響や運航規模の拡大に伴う整備機会の増加などによって、営業費用は前年から増加し1兆5316億円となったことから、営業利益は同18.5%減の1711億円となった。ただ、計画は上回った。経常利益は同12.3%減の1816億円、四半期純利益は同10.0%減の1340億円。
LCC事業では、Peach Aviationが、旺盛な訪日需要を取り込むため、使用する機材を国際線へ重点的に振り分けたことなどから、国内線の旅客数は減少したものの国際線の旅客数は増加。収入は同2.1%増の1031億円となった。また、2024年2月に就航し、現在国際3路線を運航しているAir Japanの収入は79億円となった。
このほか、旅行事業については、海外旅行はハワイや欧州方面の需要を取り込んだことで取扱高は増加したものの、コロナ禍以前の水準には戻っていない。国内旅行は、ダイナミックパッケージ商品の集客が伸び悩んだことから取扱高が減少。この結果、売上高は前年同期を7.2%下回る549億円、1億円の営業損失を計上した。