沖縄県、主要ホテルの稼働状況が上昇、新石垣空港の効果も

沖縄振興開発金融公庫企画調査部が発表した「2012 年度県内主要ホテルの稼働状況」 によると、沖縄県内の2012年の主要ホテル客室稼働率は全タイプで前年度実績を上回った。また客室単価は全タイプで前年を下回ったが、1室当たり平均売上高と1ホテル当たり平均売上高はいずれも前年度を上回った。

同調査は2012 年度の県内主要ホテル(69 軒)をシティホテル、リゾートホテル、宿泊特化型ホテルの 3 タイプに分け、それぞれ客室稼働率、客室単価、平均売上高を分析するという手法をとった。さらに、リゾートホテルについては、沖縄観光の代名詞とも言えるビーチリゾートホテルをグループ化し、リゾートホテル全体と比較して地区別に特徴を捉えた。また、八重山地域については、新石垣空港開港により観光需要が拡大するなか、リゾートホテル、宿泊特化型ホテルのタイプ別に稼働状況を分析した。

【調査結果の概要】

<客室稼働率(OCC)>

  • シティホテル 73.1%(前年度比+4.7%P)、リゾートホテル 70.6%(同+2.9%P)、宿泊特化型ホテル 68.2%(同+4.7%P)となり、全てのタイプで前年度を上回った。
  • 大型台風の襲来や尖閣諸島問題の影響はあったものの、国内航空路線の拡充や国内 LCC の誘客効果、台湾・香港等からの国際航空路線の拡充等により、入域観光客数が好調に推移したことから、全てのタイプで客室稼働率は改善した。

<客室単価(ADR)>

  • シティホテルは 10,779 円(同△1.6%)、リゾートホテルは 20,426 円(同△0.7%)、宿泊特化型ホテルは 5,824 円(同△1.4%)となり、全てのタイプで前年度を下回った。
  • 入域観光客の増加で客室稼働率は上昇したものの、新設ホテルの参入や既存ホテルとの価格競争等の影響を受けて、全てのタイプで客室単価の引下げを余儀なくされた。

<一室あたりの平均売上高(RevPAR)>  (=客室稼働率(OCC)×客室単価(ADR))

  • シティホテルは 7,878 円(同+5.1%P)、リゾートホテルは 14,424 円(同+3.6%P)、宿泊特化型ホテルは 3,972円(同+5.9%P)となり、全てのタイプで客室単価は下回ったものの、客室稼働率の上昇により RevPAR は前年度を上回った。
  • 月別の RevPAR を前年度と比べてみると、シティホテル及びリゾートホテルで、4~6 月は東日本大震災の反動もあり、客室稼働率の大幅な上昇により RevPAR は前年度を上回った。また、8~10 月は大型台風の襲来等により RevPAR は前年度を下回ったものの、11 月以降は好調な入域観光客を背景に堅調に推移した。
  • 宿泊特化型ホテルでは、客室稼働率が改善したことから RevPAR は年度を通して前年を上回った。

<1 ホテル当たりの平均売上高>

  • ホテルタイプ別の1ホテル当たりの平均売上高をみると、シティホテルは 1,729 百万円、リゾートホテルは 2,432百万円、宿泊特化型ホテルは 213 百万円と、客室稼働率の改善により平均売上高は全てのタイプで前年度を上回った。 
  • ここ 5 年間の売上高構成比の推移をみると、全てのタイプで大きな変化はみられなかった。タイプ別の特徴としては、シティホテルで、宿泊収入と料飲収入がそれぞれ 4 割を占めており、リゾートホテル及び宿泊特化型ホテルでは、宿泊収入の割合がそれぞれ 6 割、9 割となっている。

<県内リゾートホテルの地区別の動向>

  • 県内リゾートホテル 26 軒を、中部地区、恩納村周辺、本部町以北、宮古・八重山の地区別でみると、2012 年度の客室稼働率は、恩納村周辺 71.6%(前年度比+4.2%P)、本部町以北 69.2%(同+1.7%P)、宮古・八重山67.9%(同+4.5%P)で、それぞれ前年度を上回ったものの、中部地区では 71.6%(同△0.9%P)と、前年度を下回った。一方、客室単価は、中部地区 19,483 円(同+1.8%)で前年度を上回ったものの、恩納村周辺 23,309 円(同△1.0%)、本部町以北 14,050 円(同△2.9%)、宮古・八重山 16,551 円(同△3.5%)では、それぞれ前年度を下回った。
  • 地区別の RevPAR は、恩納村周辺、宮古・八重山で客室単価は減少したものの、客室稼働率の改善で前年度を上回った。中部地区では、客室稼働率がやや低下したものの、唯一、客室単価の回復により RevPAR は前年度を上回った。本部町以北は、客室稼働率の上昇に比べ客室単価の減少幅が大きく、前年度を下回った。
  • また、ビーチリゾートホテル 16 軒をリゾートホテル全体と比較すると、客室稼働率、客室単価ともにビーチリゾートホテルが上回った。地区別にみると、中部地区の一部のビーチリゾートホテルでは、安易な価格競争に追随せず、客室単価の回復を図ったことで、客室稼働率がやや低下したものの、依然として客室稼働率は他の地域と比べ高い水準を保った。

<新石垣空港開港後の八重山地域におけるホテルの動向>

  • 2012年度の八重山の客室稼働率は、リゾートホテルで67.0%(同+3.9%P)、宿泊特化型ホテルで60.9%(同+5.8%P)と、それぞれ前年度を上回った。客室単価は、リゾートホテルで14,151円(同△5.0%)、宿泊特化型ホテルで 5,884 円(同△8.5%)と、それぞれ前年度を下回った。
  • 2013 年 3 月以降、新石垣空港開港を記念した官民主催のイベント効果等もあり、入域観光客数は大幅に増加したことから、八重山地域のホテルの客室稼働率は好調に推移しており、特にリゾートホテルでは、10%P 強と、大幅な伸びとなっている。客室単価でも、リゾートホテル、宿泊特化型ホテルの一部で、宿泊需要の高まりから、これまでの価格競争から脱却し、客室単価の回復の兆しがみられている。



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