ANA伊東会長、第1四半期決算で黒字転換もJALとの経営基盤格差「依然として大きい」

ANAホールディングス伊東氏

ANAホールディングスは、2015年3月期第1四半期の連結決算をまとめた。それによると、売上高は前年同期比10%増の3868億円を計上。営業費用も同8.2%増の3864億円と増加したものの、営業損益は前年同期の56億円の損失から3億円の利益に転換し、経常損失も前年同期の112億円から25億円に改善した。四半期純損益も、前年同期の66億円の損失から34億円の利益となった。

2014年8月4日、同社の次世代主力機となる新機材ボーイング787‐9型機の初フライトとなる関係者・日米の小学生の招待フライト実施の会見で、伊東信一郎会長は記者からの「四半期決算の結果をうけて、経営基盤はJALに近づいたのか」との質問に回答。羽田空港の国際線発着枠の増枠後、増えた提供座席数に匹敵する利用となって「順調に来ている」ものの、JALとの収支上の差が「依然として大きい」考えを明らかにした。今後も、コスト構造改革に取り組んでいく方針だという。

連結決算で発表された、各事業の経営成績は以下のとおり。


【航空事業】

航空事業では、国内線旅客で競争激化の影響等により単価が下落したものの、ビジネス需要が堅調に推移したことや好調なプレジャー需要を着実に取り込んだ結果、旅客数が同2.9%増の997万人、旅客収入が同0.7%増の1483億円となった。国際線旅客では、羽田発着枠拡大に伴う新規路線開設や増便による事業規模の拡大に加え、ビジネス需要・プレジャー需要の双方を積極的に取り込んだことにより、旅客数が同17.7%増の168万9000人、旅客収入が同22.1%増の1092億円となった。

また、マイレージ収入や整備受託収入、バニラ・エア(JW)などの収入で構成される航空事業におけるその他の収入は同9.7%増の382億円。JWの第1四半期の旅客数は19万8000人、利用率は59.7%だった。この結果、貨物も含めた売上高は前年同期の3055億円から3351億円に増加、営業損失も前年同期の65億円から11億円に改善した。

航空関連事業では、羽田空港での空港地上支援業務の受託などが増えたことで、第1四半期の売上高は同17.3%増の536億円、営業利益は同124.4%増の27億円となった。


【旅行事業】

旅行事業では、国内旅行でダイナミックパッケージ「旅作」が関西方面を中心に全方面で取扱高が増加。海外旅行では、主力商品の「ANAハローツアー」において羽田空港発着路線の拡大に伴い商品ラインナップを拡充し、日本各地発の需要を取り込んだ。また、訪日旅行を着実に取り込んだことにより、訪日旅行の取扱高が前年同期を上回った。この結果、第1四半期の売上高は同1/0%増の367億円、営業利益は同27%増の7億円となった。

商社事業では、リテール部門や航空・電子部門の売上が好調に推移したことにより、第1四半期の売上高は同13.4%増の300億円、営業利益は同29.7%減の5億円となった。

2015年3月期の連結業績見通しについては、変更はなく、売上高1兆7,000億円、営業利益850億円、経常利益550億円、当純利益350億円を予測している。

(トラベルボイス編集部)

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