2015年を迎え、航空・旅行・IT関連の各社トップが年頭所感や年頭あいさつで今年の決意を表明している。2014年は、訪日外国人が1300万人を突破。観光関連に追い風が吹いており、各社の強みをさらに強化することでビジネスチャンスを逃すまいとする方針が多く聞かれたのが特徴だ。すでに公開されている各社の決意を一覧してまとめてみた。
追い風が吹く旅行・観光ビジネスを牽引する役割である観光庁からは、久保成人長官が3つの重点施策を発表。地域を「点」から「線」へと結ぶ広域観光周遊ルート形成など「観光振興による地方創生」などで、観光効果を地方活性化につなげる具体策を示した。また、2015年度よりビジットジャパンの執行機関化する日本政府観光局(JNTO)理事長・松山良一氏は、新たな体制で積極的なプロモーション活動を展開する決意を述べている。
また、旅行大手では、JTBとHISがともにグローバル展開を強化していく方針を述べた。HIS平林氏は「日本発・海外発」、JTB髙橋氏は「世界発・世界着」という表現で需要取込みに言及している。いづれも海外旅行・国内旅行・訪日旅行という枠組みを超えて、ターゲットを地球上すべての旅行者とする事業強化で今年の展開が注目される。
なお、今年はトラベルボイス編集部が注目するデジタル・IT分野の年頭所感も掲載した。旅行・観光ビジネスを邁進する中で、今や欠かせなくなったデジタル分野のトップの言葉には、時代や消費者トレンドを掴むヒントが詰まっている。新経済連盟代表理事として三木谷氏(楽天会長)が述べている「既成概念・枠組が再定義される時代」は旅行ビジネスでも到来しているといえるだろう。ソフトバンク孫氏の情報技術によるライフスタイルの変化への予見も注目したい。
以下に、各社のトップが語った年頭所感や年始挨拶をまとめた。
【行政・観光機関】
3つの重点施策を発表。「観光振興による地方創生」では、複数の県が広域連携することで、地域を「点」から「線」へと結ぶ広域観光周遊ルートの形成へ。
JNTO海外事務所における事業の企画と現地発注により、外国人目線でプロモーションを展開していくことに加え、引き続き外国人旅行者の利便性を考慮した環境整備を実施。日本のMICEブランド認知拡大にも尽力する方針。
2015年は2020年の4000万人時代の長期的ビジョンを作成する年とし、インバウンド拡大や業法改正など、2020年に向けた基盤固めの活動について言及した。
【旅行会社】 *掲載日順
ジャルパック代表取締役、二宮秀生氏が2015年年頭所感を発表。今後も環境の変化に柔軟に対応しながら常に顧客視点であることを使命とし、「羊、遠くに行く」というメッセージに強い信念を込めた
JTB代表取締役社長・髙橋氏は2015年年頭所感で観光への追い風が吹く中、さらなる成長を推進するDMCをキーワードとする方針、「世界発・世界着」の事業拡大などに言及。
楽天は、代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏の社員向け年頭挨拶の要旨を発表。ネットショッピングにはさらに大変化が起こるとし、スピードを上げてサービスを再定義する必要性を説いた。
KNT-CT HD代表取締役社長・戸川 和良氏は年賀式で年頭あいさつを実施。生き残りの道をコモディティ化からの脱却と指摘。自由な発想や個性的な商品造成やウェブシフトを確かなものにする方針を語った
HIS代表取締役社長の平林朗氏は、2015年年頭所感でアジア発着の2WAYチャーター42 本の実施や新たなホテル事業を発表。日本国内、海外拠点での日本発・海外発の需要拡大をさらに推進していく方針を明らかに
日本旅行の代表取締役社長、丸尾和明氏は2015年の年頭所感を発表。2015年は同社が創業110年を迎える節目の一年。スピーディに新たな価値を創造、新しいステージへの一歩を踏み出す決意を明らかに。
【航空会社】
JAL代表取締役社長の植木義晴氏は新年の挨拶として、JALグループの夢の実現に向けた決意を改めて述べ、残り2年の中期経営計画で目標必達へ社員一丸で努力する意思を示した。
ANAホールディングスCEOの伊東 信一郎氏は、2015年の年頭所感を発表。「真に支持される企業グループになるために」と題して、グループ一丸で努力と挑戦をしていくことを呼び掛けた。
【デジタル・IT関連】
新経済連盟代表理事の三木谷氏(楽天会長)は、インターネットが新しい価値を作り出す最良のツールと強調。規定概念・枠組みが再定義される時代とし、将来志向の目線であるべき姿を考える方針を示した。
ソフトバンク代表の孫正義氏は年頭所感を発表し、2015年はロボットが一般家庭に浸透する年になると強調。今後も情報技術は進み、ライフスタイルと産業に大きな変革がもたらされるとの予見を披露した。
(トラベルボイス編集部:山岡薫)