大阪府や関西経済連合会、大阪商工会議所などが構成する「リニア中央新幹線全線同時開業推進協議会」は、2027年に東京/名古屋間の部分開業が予定されているリニア中央新幹線が大阪までの全線同時開業した場合、全国への経済効果は年間1兆5600億円になるとの試算結果を発表した。名古屋までの部分開業の場合では8900億円に留まり、全線同時開業することによる効果差は6700億円。これはGDPを0.14%押し上げる金額だという。
効果差の内訳は、ビジネス利用による産業活動誘発効果が2700億円に対し、観光誘発効果は4000億円。特に、競合路線の航空需要の減少で羽田に活用可能なスロットを国際線が使用した場合、外国人旅客の増加が見込めることから、インバウンドでは2900億円の積み増し効果があると算定した。
具体的には、羽田空港に1日約70便の発着枠が活用可能となり、年間約240万人の訪日外国人旅客の到着が期待できるようになる。部分開業から全線開業する2045年までの18年間を合計すると、全国への経済効果は12兆1000億円、そのうちインバウンドで5兆2000億円になるとする。
なお、同協議会では大阪開業までの「空白の18年」の危機感から全線同時開業を働きかけるために調査研究、広報活動を行なっており、今回の経済波及効果は全線開業に向けた提案書の中間とりまとめで発表したもの。このなかでは、東京/大阪間の新幹線の最大ユーザーとして名古屋圏在住者の2.5倍のリニア建設費を負担していることになる首都圏・関西圏在住者が、部分開業時にリニアを利用する意向が12%にとどまり、約9割が早期の全線開業を希望したという調査結果を踏まえ、不均衡の是正の観点からも全線同時開業を働きかけるとしている。
(トラベルボイス編集部)