星野リゾートは、2015年に新たなテーマで宿泊体験を提案する。海外ですでに流行しているが日本では馴染みのない“グランピング(高級リゾートで上質なキャンプ体験をする)”がコンセプトの「星のや富士(山梨県)」を10月30日に開業。また、既存の施設ではデジタル時代に疲れをいやす体験として「デジタルデトックス」、祖父母が父母を除く孫と旅する「孫旅」などだ。このほど開催されたプレス発表会では、同社代表の星野佳路氏がその狙いや概要を説明した。
▼グランピングのコンセプトで「星のや富士」開業
「グランピング(Glamping)」とは、グラマラス(glamorous)とキャンピング(camping)を合わせた造語。世界では潮流になっているコンセプトを「星のや富士」に導入し、アウトドア体験をしながらも虫や就寝中の寝心地の悪さに悩まされない上質なキャンプを実現する。「星のや」ブランドでは、京都、軽井沢、竹富島に続く4軒目。星野氏は「今までの星野やと趣向が変わってくる」として、新しいコンセプトであることを強調した。
客室は、すべての客室にテラスリビングを備えた40室。丘陵にスコープのように並び、河口湖や富士山を望むことができる。空調が聞いて虫が入ってこない快適性の中で自然を体感できる作り。星野氏の説明によると、宿泊者は駐車場に到着するとチェックインとともにリュックを手渡される。そこから丘陵を上ってハイキングをするように客室に向かうという。
室内は、キャンプ用品を備付け、食事は開放的な空間でシェフがグリル料理をコース仕立てで用意。ダッチオーブンを使ったディナーも用意し、シェフが用意した食材で料理を作る体験も可能にした。宿泊料金は2人1室利用で4万5000円から。
▼脱デジタル滞在を提案
「星のや」の軽井沢・京都・竹富島の3施設が提案するのがデジタル機器から離れる2泊3日の滞在だ。到着時に、宿泊者が携帯電話やパソコンを預けて、ネット環境から遮断。滞在中は、地域性を生かして軽井沢ではナイトハイクや温泉指圧、京都では朝のお勤め(座禅)や聞香体験、竹富島では浜ボルタリング、うたき(御嶽)めぐりなどのプログラムを用意した。デジタルから解放される滞在で、本来の自分の感覚を取り戻してほしいという。
▼祖父母と孫だけででかける「孫旅」
リゾナーレのブランドが提案するのが「孫旅」。祖父母と孫だけで出かける旅スタイルの提案で、育児を顧みずに働いてきた祖父世代が孫を楽しませることができるように、各施設がプランを用意した。孫旅専属のコンシェルジュを配置。“育じい”と孫が楽しめるように旅のプログラムをアレンジし、旅行前も滞在中も相談に対応する。滞在後は、滞在中の体験をフォトブックで後日郵送し、帰宅後にも旅の思い出で会話が弾むような配慮をした。
▼各施設の個性的なテーマの提案
ブランド毎の大きなテーマのほかにも、各施設が個性的なテーマを設定してさまざまなプランやサービスを生み出している。記者が注目した新たなテーマは以下の通りだ。
奥入瀬渓流ホテル:地域ならではの取り組みとして
「苔(こけ)」をテーマに「苔ガールステイ」や「苔しずくディナー」を提案
リゾナーレ西表島:
イカダの上で漂流する体験をする「秘境イカダクルーズ」を提案。漂流することで大自然の静けさを味わってもらうもの。
リゾナーレ小浜島: 大きなハンモックが連なる
ハンモックエリアを新設。ごろごろしながら、星空を眺める時間を提案。
星野リゾート トマム: 雲海テラスで有名となったトマムならではの
「雲ガールステイ」を提案。雲をモチーフにしたディナーやふわふわの泡を使用したスパトリートメントなどを用意。
*星野氏のインタビュー記事>>>
(トラベルボイス編集部:山岡薫)