アジア4か国の旅行会社アンケート、関西旅行のニーズは「じっくり滞在」「高級志向」が増加

国土交通省近畿経済産業局は、このほどアジアの主要4か国(韓国、香港、台湾、中国)で関西旅行商品を造成する現地旅行会社5社にアンケート調査を実施した。その結果、現地の顧客の傾向として、「円安効果で高級旅館の問い合わせが多くなった」(韓国)、「滞在型・連泊の需要が増加している」(香港)、「ホテルにフリーWi-Fiを設置しているかどうかが、ランクや立地よりも重視されはじめている」(台湾)、「関西をじっくり観光したい顧客が大幅に増加し、滞在中1~2泊は和室旅館への宿泊を希望される」(中国)といったニーズが明らかになった。

各国で情報収集を行う際によく用いるウェブサイトとして、「京都観光NAVI(http://kanko.city.kyoto.lg.jp/)」「神戸公式観光サイト(http://www.feel-kobe.jp/)」「旅の献立(http://www.tabinokondate.com/)」が挙げられたほか、中国では旅行関連書き込みサイト(http://www.mafengwo.cn/)、韓国では「ネイルドン 日本旅行カフェー(cafe.naver.com/jpnstory)」などを使用。さらに韓国ではブログ利用による情報収集や情報発信が盛んである一方、中国では自国で発行された日本観光に関する書籍、台湾では観光協会提供の情報を重視する傾向なども確認できたとしている。

競合するほかの旅行先と比較した関西の良いところ(強み)では、「台湾や中国と比較して、関西(日本)は旅行の情報量が多く街がきれい」(韓国)、「東南アジアや韓国などに比べて、安全性が高い。また旅行関係のインフラが整備されている」(中国)といった見解のほか、関西では近隣地区に多彩な観光スポットが存在する点が複数市場で強みとなっていることが分かった。

一方、関西の良くないところ(弱み)では、「宿泊先が足りない」(韓国)、「宿泊施設及び貸切バスの仕入環境が悪化」「受け入れる訪日外国人旅行者数に対してホテルが足りない」(香港)といった「受け皿不足」問題が複数寄せられた。また、「関西の有名温泉旅館は日本の他の地域とくらべて比較的値段が高く、団体ツアーで手配しにくいが、温泉旅館を手配しないと顧客を逃してしまう」(台湾)といった点も挙げられている。

今回の調査レポートでは、今後ますます個人旅行化が進むことに加え、旅行内容が周遊型から滞在型に、駆け足型からじっくり型に移行していると考察。日本側への要望でも個人旅行向けの内容が特に増加しているとし、「個人行動に伴う公共交通機関等の利便性向上」(香港)、「乗換案内等をわかりやすく」(台湾)といった声が特徴的だとする。

さらに、訪日旅行希望者の急増が今後も見込まれる一方で、各国共通して宿泊施設やバス、レジャー施設の慢性的な不足が大きな懸念になっている点に言及。日本側によるハード・ソフト面での受け皿の整備と充実が、現地旅行会社による切実な問題であることが明らかになったとしている。

この調査は、2014年12月、韓国2社、香港・台湾・中国各1社の責任者に対して調査票によるアンケート形式で実施したもの。いずれの旅行会社も関西への送客は前年比100%超となっている。

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…