再生中のスカイマーク航空のスポンサー候補として、イントレピッド・アビエーションは米・デルタ航空(DL)を選定した。イントレピッド社は、破たんしたスカイマークの最大債権者の米リース会社。債務者側であるスカイマークは、すでにANAをスポンサーとする再生計画案を東京地裁に提出しており、債権者と債務者側の2つの案が出そろった状況となる。再生案は2015年7月24日までに提出される議決票と8月5日に実施される債権者集会の投票で決定することになる。
イントレピッド社が提示した再生債権者計画は、日本市場でのスカイマークの第三極としての独立性の維持に重きがおかれたもの。航空会社のスポンサー選定については、羽田空港のスロット(利用枠)に焦点が当たっており、イントレピッド社の主旨は日系2社以外がスポンサーとなることで独立性を保つことにつながるというものだ。
再生計画案のメディア説明会では、デルタ航空の日本支社長、森本大氏が登壇。スカイマークが、デルタ航空にとって「常に提携の候補であった」ものの、会員組織がないことや低価格戦略など戦略に合わずに提携が進まなかった経緯を明かした。
そして、「今回は状況が変わっている」として再生プロセスに入ったことで、「ビジネスモデルの見直しをする際、デルタ航空の仕組みを提案する。」考え。具体的には、予約のグローバルスタンダード化、マイレージプログラムの作成、旅客サービス、売上・在庫管理で適切な技術の導入などができるものとしている。
今回の案が実現することで、デルタ航空にとっては日本国内線ネットワークが拡大する。スカイマークにとっては、国際線との連携が図ることができるようになる。日本人・外国人の双方向での航空利用でネットワークや選択肢が広がることになる。
デルタ航空は世界の3大アライアンス(航空連合)のひとつ「スカイチーム(Sky Team)」のメンバー。スカイチームは、日本に提携航空会社を持たず、今回の案が実現することが航空連合各社にとって有益となる。
なお、デルタ航空の出資比率やコードシェアなど提携内容については今後詳細を協議することになる。森本氏は、「スカイマークのニーズを探りながら新たな形を作っていきたい」と意気込みを示した。
混乱を極めるスカイマークの民事再生、最大債権者が300億円債権放棄も
現在、スカイマークの民事再生は混乱を極めているところ。今回の計画についてのメディア説明会では、このほど開催された債権者集会で9割を占める債権者が債務者案に賛同していないという事情も公表された。同社は、「この状態では否決され、破たんせざる負えない状況」として事業継続のために、新たな提出したという。
今回の案では、最大債権者であるイントレピッド社は「弁済条件を向上させた」としている。すでに基本弁済については届出されているが、今回の案では、同社が300億円の債権を以下条件がすべて満たされた場合に取り下げるものになっているという。
- 再生債権者の案が可決されること
- デルタ航空が認可決定を得ることができること
- デルタ航空がスカイマークとインテグラル社との株式契約がとれること
- デルタ航空が契約に従って国内規制の範囲内で出資がすることができること
これが実現することで、基本弁済とともに再生債務者としては追加15億円を弁済できることで理解を求めている。
関連記事>>>
トラベルボイス編集部:山岡薫