JTB総合研究所は、このほど「LCC利用者の意識と行動調査2015」を実施、LCCの利用実態や今後の利用意向についてとりまとめた。それによると、国内線LCCの利用率は全体の22.5%で、前年より6.7ポイント、2013年よりも10ポイント以上増加。年々着実に上昇している状況が判明した。
性別・年代別にみると、国内線LCCの利用率が最も多いのは「男性18~29歳」が52.2%と過半数を超え、「女性18~29歳」も36.1%とほかの年代よりも大幅な伸びとなり、若年層を中心とした急速な利用率の高まりがみられた。地域別では、関西居住者の利用率が33.6%となり、関東の17.8%の2倍近くに到達。特に関西を中心に伸びが牽引されているものとみられる。
航空会社別では、2015年のトップは「ジェットスタージャパン」(9.7%)、2位「ピーチアビエーション」(8.1%)となっている。
年代別、航空会社別の国内LCC利用状況は以下のとおり。
国内線LCC航空券の購入方法では、「単品購入」が平均85.9%と圧倒的に多く、「航空券と宿泊施設がセットのパッケージツアー」の11.5%と大きな開きがみられた。
一方、国際線のLCC予約では国内線LCCと傾向が異なる。国際線の「単品購入」は67.5%で、「航空券と宿泊施設がセットのパッケージツアー」が20.5%となり、国内線よりも単品購入率が18.4ポイント少ない反面、パッケージツアー利用率が約9ポイント多い。
国内線および国際線LCC航空券の購入方法の比較グラフは以下のとおり。
航空券のチケット料金(座席指定料、追加荷物料金などのオプションサービス料込み)は、「5000円未満」が10.7%、「5000円~9999円」が43.5%で、過半数以上が1万円未満となった。ただし、男性60代では1万円未満での利用率が67.9%と多く、格安なチケットを有効利用している様子がうかがえる。
また、「LCCの就航」が旅行計画にもたらす変化もみられる。国内LCCでは、「今までと同じ行先でもLCCを使うようになった」(32.8%)、「LCC就航がきっかけで国内旅行をした」(32.7%)、「旅行回数が全体的に増えた」(27.8%)などとなっており、特に関西では、関東や中部地区と比べてLCCの就航を契機に旅行に出かける人が多い傾向が顕著となっている。
地区別にみた「国内線LCCがもたらした"旅行"への変化」は以下のとおり。
なお、今後のLCC利用意向では、LCCでの旅行経験者と未経験者で傾向が異なることが分かった。
国内旅行の場合、LCC利用経験者では「LCCのみを利用」が10.4%に対して、未経験者は1.1%。経験者による「LCCを優先的に利用するが、既存の航空会社も検討する」が35.8%に対して、未経験者は7.4%。経験者による「既存の航空会社のみを利用する」のは4.0%にとどまるのに対し、未経験者では34.4%が該当する。これらのことから、LCCの経験者はLCCを優先的に検討する意向を示す状況が明らかになっている。
この調査は、2015年7月7日から11日まで、インターネットアンケートとして実施。対象は2012年3月以降に国内線LCCを旅行用とで利用した1548名。本調査に先んじて実施したスクリーニング調査で得られたセグメント(エリア、年代、性別)ごとの国内線LCC利用者出現率に基づくウェイトバック集計を行っている。