東京商工リサーチは東証1部・2部上場メーカー77社を対象に実施した「2016年3月期決算『下期 想定為替レート』」調査の結果を発表した。
それによると、2016年3月期決算の下期(第3四半期以降)業績見通しで、対ドル相場を「1ドル=120円」と想定している企業が約4割(30社)で最多であることが判明。次いで、115円(25社)、118円(7社)、119円(5社)、121円(4社)。最安値は125円だった。
期初時点の想定では、約6割の43社が「1ドル=115円」としていた。下期想定レートとの比較では、「期初の115円と変わらず」(23社)が最も多く、次いで「期初の115円から120円に変更」(11社)、「期初の120円と変わらず」(9社)と続いた。想定レートが期初時点と変わらないとした企業は約半数の合計37社となり、為替相場に関する様子見をうかがわせる結果となっている。
2015年は8月に中国経済減速の影響で為替相場が不安定となった。1ドル=116円台まで円が一転して急上昇(8月24日NY外国為替市場)となるなど不安定な状況が発生したが、その後120円前後の円安基調で継続している。東京商工リサーチではこの動きについて、円安基調の持続は輸出関連業界にとって業績向上をもたらす要因になる一方、原材料などの輸入物価を押し上げるためコスト高を招くデメリットもあると分析。特に中小企業にとって体力を消費する原因になる恐れがあるため動向把握が肝要だとしている。
なお、対ユーロ相場では、調査対象57社のうち、「1ユーロ=130円」(23社)で最多。次いで、125円(11社)、135円(7社)、133円(6社)。最安値は136円だった。
調査対象のメーカーは、電気機器、自動車関連、機械、精密機器関連の3月本決算企業のうち、2016年3月期決算の業績見通しで第3四半期以降(10月以降)の下期想定為替レートが判明した77社。