外務省領事局海外邦人安全課は、このほど2014年の「海外邦人援護統計」を発表した。この統計は、日本の在外公館が援護した在留邦人、短期滞在の日本人の数をまとめたもの。
それによると2014年の海外における事件・事故の総援護件数は1万8123件で前年比1.84%増。総援護対象者数は2万724人で同4.95%減。2013年はいずれも前年比減だったが、今回は増加に転じる結果となった。
要件別動向:犯罪被害では詐欺が増加傾向、死亡理由は「疾病」が約8割
総擁護件数を要件別にみると、「犯罪被害」の5040件(5383人)で全体の約3割を占めた。そのうち、最も多いのは「窃盗被害」(4140件、4417人)、次いで「詐欺被害」(429件、453人)、「強盗被害」(227件、248人)の順。窃盗被害と強盗被害は昨年よりも少なくなったものの、詐欺被害は増加傾向にある。
「犯罪加害」は378件(404人)。主なものは、「出入国・査証関係犯罪」(105件、115人)、「道路交通法違反」(63件、69人)、「傷害・暴行」(52件、54人)、「麻薬犯罪」は27件(30人)となった。
一方、「事故・災害」は194件(345人)で、前年の255件(332人)から件数は減ったものの人数は増加。そのうち6割以上が「交通機関事故」(116件)で、交通事故が109件、列車事故2件、航空事故1件が含まれる。「レジャー・スポーツ事故」は43件で、そのうち水難事故は18件、登山事故は9件、スポーツ事故は8件となっている。
「死亡者数」は522人で過去10年間で3番目に少ない数字。「負傷者数」は396人で過去10年間で最少となった。死亡理由は疾病などが405人で約8割を占め、自殺による死亡者が47人と続いた。
援護件数・人数の過去10年間推移は以下のとおり。
地域別動向:北米地域での件数が増加、在外公館別では在タイ大使館が最多
地域別では、アジア地域が5985件(全体の33.1%、6245人)と前年に引き続きトップ。次いで北米地域が5660件(31.2%、6853人)、欧州地域が4328件(23.9%、4573人)と上位3地域で約9割を占めた。そのほか、中南米地域が1028件(1787人)、大洋州地域が494件(528人)、アフリカ地域が333件(427人)、中東地域が295件(311人)。前年と比較すると北米地域が684件増(1308人増)と大きく増加。一方、アジア地域は480件減(548人減)と大きな減少がみられた。
在外公館別では、在タイ大使館が最も多く、2位は在上海総領事館となりいずれも前年と同順位になった。次いで、在フィリピン大使館(前年4位)、在フランス大使館(前年3位)、在ロサンゼルス日本国総領事館(前年7位)となった。
地域別内訳は以下のとおり。
なお、この数値は在外公館が把握している邦人援護事案のみを集計。すべての事件や事故等を網羅したものではなく、同一の事案に複数の在外公館が対応した場合も含まれているため「延べ数」となっている。
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