帝国データバンクはこのほど、2015年の景気動向に対する企業の見解をまとめた。それによると、2015年は「踊り場」局面だとする企業が54.8%で、2006年以来9年ぶりに過半数を超えた。一方、「回復」局面だったとする企業は7.5%で前年とほぼ同レベル。「悪化」局面とする企業は19.9%で前年実績より9.0ポイント減となった。
「踊り場」局面とする企業では、景気が回復傾向にあることは認められるものの、業種や企業間で景気の回復度合いに差が広がっている様子がうかがえた。例えば「ユーザー単位でみるとメリットとデメリットの二極化がみられる」といった声が多く聞かれたようだ。
一方、「回復」局面とみる企業では、「インバウンドの増大による国内消費の拡大により、観光産業を中心に景気回復局面にある」(経営コンサルタント、大阪府)、「建設工事には人手不足で強気の金額を出しても受け入れてもらえる状況が徐々に出来つつあり、好材料が増えてきている」(建設、東京都)など、増加する訪日外国人やコスト増の価格転嫁を指摘する意見が多くみられた。
「悪化」局面とみる企業では、「プレミアム商品券による消費喚起の恩恵もなく、都心のようなインバウンド効果もないので、前年売上・入店客数をクリアできない状況」(各種商品小売、栃木県)といった声が聞かれ、特に中小企業や地方で景気上昇の実感が乏しい様子がうかがえたとしている。
なお、2016年の景気見通しでは、「踊り場」局面を見込む企業が2015年よりも4.0ポイント増加。「回復」は2.1ポイント減、「悪化」は2.9ポイント減となった。景気に悪影響を与える懸念材料としては「中国経済」(46.4%)が最多。次いで「消費税制」(37.7%)が挙げられたという。
この調査は、同社の景気動向調査(2015年11月版)と同時におこなわれたもの。調査対象は全国2万3051社、有効回答数は1万620社。