民泊の世界大手Airbnbは2016年6月15日、日本の最新市場データと経済効果を発表した。あわせて、各国の法規制の現状について説明。同社グローバルポリシー/公共政策責任者クリステファー・レへイン氏は、「日本はゲスト数で世界第5位。Airbnbゲストのあいだで、世界で最も行ってみたいデスティネーションのひとつになっている」と話し、急速に成長する市場は日本経済にも大きな押し上げ効果を生んでいると強調した。
同社は、2015年に日本のAirbnbホストが創出した利益は2363億円になり、その経済波及効果は5207億円にのぼると試算。また、標準的なホストの年間収入は122万2400円で、レへイン氏は「生活を支える収入源になっている」と説明した。Airbnbは昨年11月に早稲田大学の調査結果として経済効果を発表したが、同社独自の試算は今回がはじめて。
同社が発表した最新のデータによると、日本人ホストの平均年齢37歳。2015年の一般的な貸出回数は101泊。男女比では女性が38%、男性が62%。現在、世界では女性や50歳以上のホスト数が増えてきており、同社としてもそのふたつの層が拡大していくことに期待しているという。
レへイン氏は日本のホスト数については明言を避けたが、現在の全世界の掲載件数(リスティング)は200万軒で、今後「日本がその数値を牽引するだろう」と期待をかける。
また、2015年の日本での外国人宿泊者数は前年比500%増の138万人に急増。レへイン氏は、Airbnbを利用する訪日ゲストは全国に広がっており、この傾向は今後も続くと予想。「Airbnbのビジョンのひとつである地域経済への貢献も実現できている」と自信を示した。なお、海外での日本人宿泊者数も前年の5万6000人から21万3000人に拡大した。
今回あわせて発表された訪日ゲストの上位5カ国・地域は以下のとおりだ。
- 米国
- 中国
- オーストラリア
- 韓国
- 香港
また、訪日ゲストの滞在上位10都市も発表された。
- 東京
- 大阪
- 京都
- 福岡
- 札幌
- 那覇
- 名古屋
- 広島
- 神戸
- 沖縄
東京でも税金を徴収代行の意向、世界では200自治体の事例
このほか、レへイン氏は各国のホームシェアリングに対する法規制についても報告。そのなかで、日本政府が規制改革実施計画で民泊の年間提供日数ついて「180日以下の範囲内で適切な日数を設定する」とした点について触れ、「国によって設定日数は変わってくるだろう。また、家主居住型と投資的な物件でも違いはあるだろう。まず住居の供給がどうなっているかを考える必要があるのではないか」と話した。
主要国・都市の例を見ると、ロンドンでは年間90日までは用途変更許可を受けずに自由に自宅をシェアすることが可能。それ以上はロンドン市当局の許可が必要になる。また、アメリカのサンノゼでは、家主不在型は年間180日まで、家主居住型は制限がない。
さらにレへイン氏税徴収代行についても言及。現在、アムステルダムで宿泊税と旅行者税の回収代行を行っているほか、200の自治体と回収代行について合意しているという。今後も、税の回収代行を拡大させていく方針だ。日本でも東京都でも実現させる方向で議論を進めていく考えだ。
トラベルジャーナリスト 山田友樹