新経済連盟は民泊に関する緊急調査を行ない、制度設計に対する考えを改めて表明した。新経済連盟では昨年から、政府に対して民泊の制度設計に関する提案を2度行ってきたが、今回は昨今の検討情報を踏まえ、改めて考え方を整理し、公表したもの。
このなかでは、シェアリングエコノミーの特性を踏まえた制度設計が必要とし、プラットフォームに必要最低限の一定の責任を課すことや、テクノロジーの有効活用による対面原則の撤廃などを明記。
注目されている日数制限については、改めて「断固として反対」と強調した。民泊のホストに対する緊急アンケートでは、仮に「180日の日数制限ができた場合どうするか」の問いに、ホスト不在側の約9割が「ホストを続けることはできない」旨を回答。居住型でも約7割が同様の回答だった。
この回答には「ヤミ民泊で続行する」も含んでおり、新経済連盟では日数制限によってヤミ民泊が増えるとも指摘する。
このほか、国内外の事業者のイコールフィッティングとして、海外の事業者も新法の適用対象にすべきとし、違反事業者に対しては名称等の公表制度のみでは実効性が不十分とも指摘。海外事業者に域外適用した上で、行政庁の関与を及ぼす仕組みが必要不可欠とした。また、旅館業に関連する規制見直しにも言及した。
民泊の収支試算、日数制限なしと180日制限のケースを比較
さらに新経済連盟では、ホストをしている人の協力を得て、収支について計算。新宿で収容人数4人、1K(35.6平方メートル)の物件で、初期投資費用は117万2528円の場合の日数制限なしと180日制限での投資回収を比較した。日数制限なしの場合、1年7か月で初回収が可能だが、180日制限の場合は赤字となるため、回収=民泊実施は不可能だとする。
日数制限なし
- 売上:月平均約23万円
- ランニングコスト:月平均約16万円
- 利益:月平均約7万円
日数制限180日
- 売上:月平均約11万円
- ランニングコスト:月平均約15万円
- 利益:月平均約△4万円
緊急アンケートは2016年5月17日~19日にウェブ上で実施し、250件以上の回答が寄せられたという。
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