経済産業省は「訪日外国人の消費促進のための観光関連サービス産業等の在り方に関する調査研究」で、2014年度のホテル市場規模は前年比5.2%増の1兆6202億円、2015年度には5.0%増の1兆7012億円になるとの見込みを発表した。「平成27年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備事業」の一環として、矢野経済研究所が調査を担当したもので、宿泊業(ホテル市場)は活況だという。
調査によると、2015年の国内宿泊施設の延べ宿泊者数は6.7%増の5億545万人泊と増加。特に外国人が48.1%増の6637万人泊と大幅に増加している(観光庁調査)。ホテル営業施設数も2013年度から増加に転じ、2014年度末には前年より70軒多い9879軒、ホテル客室数は1万7377室増の83万4588室となった。堅調な国内旅行需要に加え、大幅に増加したインバウンド需要が牽引しているとする。
ただし、矢野経済研究所では、ホテルが増加する背景には宿泊施設市場の構造変化があると指摘。旅館については2014年度に1464軒減の4万1899軒、客室数も2万5252室減の71万19室(厚生労働省調査)と大きく落ち込んだことから、ホテルが他の宿泊施設のマーケットを侵食してシェアを拡大している傾向を読み取れるとする。民宿やペンションなどの簡易宿所営業は増加しているが、これについては若者や外国人を対象としたゲストハウスや、都心部などで増えているカプセルホテルなど、簡易宿所の業態の多様化によるものと見ている。
今後については、2020年に向けて緩やかな市場の拡大が見込まれると予想。2018年度のホテル市場規模を1兆9691億円とし、2015年の見込みから年5%程度の増加率で推移すると見る。また、簡易宿所についても引き続き拡大を見込む。「民泊」に対する条例制定や規制緩和など政府の法整備によって、宿泊市場に少なからず影響を与えると見ている。
経済産業省「Open DATA METI」上記調査該当ページ