東京商工リサーチが発表した2016年度上半期(4月~9月)の旅行業・宿泊業の倒産状況によると、旅行業の倒産件数は前年より3件少ない13件で、3年連続の減少。過去20年で見ても、2010年の12件に次ぐ低水準だった。負債総額は14億7200万円で増加した。
倒産件数が減少した原因として東京商工リサーチでは、国内旅行を中心とする需要の堅調さと、金融機関の中小企業向けの融資の積極化の2つをあげる。このなかで倒産に至った企業の特徴としては、過去の業績不振に加え、同業他社との競合による販売不振が多かったという。
宿泊業の倒産件数は前年より15件少ない29件に減少、負債総額は112億9000万円。倒産件数は過去20年のうち、1996年度と同数で最も少なく、負債総額も最低金額となった。
宿泊業の倒産では、過去の業績不振による旧債務をいったん整理するため、旧会社を特別清算しって宿泊事業を新会社、又は他社に譲渡するケースが、昨年に続いて今年も多く見られた。今上期は大型施設の再編は減少し、小規模旅館にシフトしていることで、負債総額も大幅に減少したという。
一方、販売不振を原因に破産に至るケースもあり、東京商工リサーチでは宿泊業の倒産には状況の違いが表れていると指摘する。