東京商工リサーチが発表した2016年10月の旅行業・宿泊業の倒産状況によると、旅行業の倒産件数は2件、負債総額は3億9800万円だった。
旅行業の倒産はいずれも3種旅行業者で、このうち大手旅行会社の代理販売や地元企業の団体旅行手配などを中心としていた新三昌トラベルは、海外テロの影響や他社のインターネット販売との競合で取り扱いが減少。また、フロムツーリストは日本から中国、および中国から日本への日中間の旅行を扱っていたが、同業他社との競合や東日本大震災、日中関係の冷え込みが影響した。中国からの訪日旅行者数の増加による恩恵は受けなかったという。
宿泊業の倒産件数は8件、負債総額は29億5400万円。倒産件数は昨年と比べ、倍増となった。ただし、このうち3社は同じグループ企業によるもので、東京商工リサーチでは2016年度以降は低水準の推移になっていると見ている。倒産原因は民事再生の1件以外は、販売不振による破産だった。
ちなみに、民事再生申請は、山梨県石和温泉「ホテル花京」を運営していた大和商事。宿泊業のほか、金融業、不動産業も手掛けていたが、近年はホテル・不動産賃貸業の利益で均う遊行の赤字補填をしていた。ホテル花京の事業は採算が維持できていたため、営業を継続する意向だ。