
世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は、サステナビリティに関する最新の消費者意識レポート「Bridging the Say-Do Gap: How to Create an Effective Sustainability Strategy by Knowing Your Customers (言葉と行動の差をどう縮めるか:顧客を知り、効果的なサステナビリティ戦略を立てるために)」を発表した。
2025年1月下旬、スペインのマドリッドで開催された 国際観光見本市「FITUR 2025」で同レポートの内容を紹介。調査は、YouGovの協力を得て実施した。
旅行者のサステナビリティ意識と、実際に購入する旅行サービスに乖離があるのはなぜか、その理由や背景を考察し、観光事業者にとって実行可能な対策を導き出し、さらに経済成長と責任ある環境対策の両立をめざすことを狙いとしている。
調査では、1万人以上から得た回答を集計・分析し、エコ意識の高い「頼もしい戦士」から「気候変動懐疑論者」まで、6つのカテゴリーに旅行者を分類。それぞれに特徴的な行動、重視している価値、サステナブルな選択肢を躊躇する要因など割り出した。同レポートでは、各カテゴリーで考え方や行動には大きな差があることを理解し、幅広いオーディエンスを意識した戦略を立てることが、一定以上の成果を出すために欠かせないと指摘している。
旅行者の最優先事項は「コスト」と「品質」
今回の調査データからは、旅行者にとっての最優先事項は、引き続き「コスト」と「品質」で、「サステナビリティ」以上に重視されていることが浮き彫りになった。どのカテゴリでも、回答者の50%以上が、購買決定に影響する最重要ファクターとして「コスト」を挙げた。「品質」を挙げたのは30%だった。
これに対し、「サステナビリティ」を最重要ファクターに挙げた回答者は各カテゴリで11~7%にとどまり、最も環境意識が高い層でも「コスト」を下回った。
問題点の一つとして、同レポートでは「分かりにくさ」が阻害要因だと指摘している。サステナビリティに関する情報提供やメッセージ通知がなかったとの回答は全体の10%以上を占め、利用先チャネルには大手メディア、プラットフォーム、SNSなども含まれていた。
WTTCのジュリア・シンプソン会長兼CEOは「サステナビリティに関心はあるものの、購入時には価格と質が圧倒的に重要になる。価格的に手が届く範囲内に、サステナブルな選択肢があることが望ましい」と消費者心理について説明した。一方で、Intrepid Travel、Iberostar、ヒルトンなど、WTTC会員各社による具体的な取り組み事例にも言及し、今後への期待を示した。
同レポートでは、本格的な変化を促すために必要なこととして、サステナブルな旅の経済的メリットや旅行者一人ひとりへの恩恵に焦点を当てること、エコ・フレンドリーな選択肢をシンプルかつ手軽なものにすること、無理のないレベル別のリワードプログラム導入などを提言している。また、持続可能ではない選択肢を排除し、サステナビリティを基本設定とすることが現状打破につながるとしている。
旅行・観光事業者がギャップを埋めるのに役立つ7つのポイントをまとめたWTTCレポートの詳細は以下。