ハウステンボスはゲームアプリ制作会社のグッドラックスリーと、スマートフォン向けゲームアプリ「エアリアルレジェンズ」を共同開発した。ゲーム内のハウステンボスの世界で展開するロールプレイングゲームで、現実世界のハウステンボスでもゲームのキャラクターの出現や関連イベントなどを予定。リアルとバーチャルの両面で楽しめる「モバイルアミューズメントパーク事業」として展開する。テーマパークとスマホゲームとの連動は今回が初めて。
狙いは、（1）ゲームそのものも本格的な楽しさを提供しながら、（2）ゲームを通して遠隔地の人でも日常的にハウステンボスのコンテンツを体感してもらい、（3）ゲームの楽しさを場内にも展開。ゲームユーザーにハウステンボスの新しい魅力を作ってもらうことも期待する。この流れにより、ハウステンボスとしてはさらなる来場者増加に繋げたい考え。
ハウステンボス代表取締役社長の澤田秀雄氏は、「お客様に来場していただくためには、常に新しいチャレンジが必要」と説明。これまでも日本一の花のイベントやイルミネーション、日本初の3Dプロジェクションマッピングのショーのほか、最近では世界初のロボットホテル「変なホテル」、2017年3月には日本最大のVR（バーチャルリアリティ）体験施設「VRの館」をオープンするなど、新しい仕掛けを作り続けている。
「新しい取り組みで数パーセントずつ足していく。その積み重ねが年間300万人突破となったし、将来的に400万人になると期待している」という。
ゲームキャラクターのイメージ：発表資料よりさらにエイチ・アイ・エス（HIS）代表取締役社長でもある澤田氏は、「ハウステンボス自体には限界があるが、スマホは全世界でこのゲームができる」と語り、同事業でも世界展開への意欲を見せた。「特にアジアはゲームアプリが流行っており、うまく発信できれば画期的に広がる」と述べ、世界120以上あるHISの海外拠点の活用も示唆。現在は日本語対応のみだが、国内での展開が軌道に乗り次第、世界展開に向けた研究を始める考えだ。
リアルとモバイルが生む可能性、モバイルアミューズメントパークとは？
今回の共同開発は、ゲーム制作を担当したグッドラックスリー側から提案。代表取締役CEOの井上和久氏は「モバイルアミューズメントパーク」について、ゲームを核に派生した音楽やゲームキャラクターのLINEスタンプ、漫画やアニメへの展開、ネット動画やゲーム動画の公開など、「スマートフォン1台ですべてのコンテンツを繋ぐ構想」と説明する。
その上で、リアルのパークとの連動により、例えばハウステンボスには関連イベントの開催やゲームキャラクターの着ぐるみミーティング、グッズ・土産品販売などの機会が創出。リアルとモバイルの双方で、新しいエンターテイメントの提供が可能になるという。
モバイルアミューズメントパークとリアルのテーマパークの融合イメージ：発表資料よりまた、コンテンツビジネスではキャラクターの人気を出すことが難しいが、モバイルからリアルの展開ではバーチャルであるゲームで先に出すことで、ユーザーの趣向を確認できる。つまり、ユーザー視点でのキャラクター開発が可能で、無駄なくグッズ販売やキャラクター展開ができるメリットもあるという。
左から）ハウステンボス代表取締役社長の澤田氏、グッドラックスリー代表取締役CEOの井上氏なお、今回のゲームの開発費は数億円で、両社がほぼ折半。開発に2年間半をかけ、グッズ販売やアニメなどへのスピンオフも可能なストーリーとキャラクターを作り込み、ゲーム内の楽曲は日本アカデミー賞の受賞作家、キャラクターの音声は人気声優を起用して質を高めた。ただし、当初は一部開放となり、今後拡張していく。
配信開始は2017年5月中を予定。事前登録を受け付けており、この3週間で20万人以上が登録した。まずは今夏中に100万ダウンロードを目指し、達成時には記念花火を打ち上げる。その後も300万、500万、1000万に達するごとに、パーク内での企画を用意。井上氏は「やるからにはトップを狙う」と意気込みを語った。
ゲームアプリ「エアリアルレジェンズ」の概要
ハウステンボスをモチーフにした新タイプのロールプレイングゲーム。キャラクターを育成しながら敵を倒し、危機に陥ったハウステンボスの王国を救う。バトルキャラクターは、個性的で重厚な世界観を持つ約100体が登場。ゲームは基本無料で、アプリ内課金あり。公式サイト内では動画や連載漫画も配信されている。
取材：山田紀子（旅行ジャーナリスト）
観光マーケティング実務スタッフ（旅行好き大歓迎！）【株式会社マーケティング・ボイス】
