日本旅行業協会(JATA)の旅行市場動向調査(2017年6月期)で、2017年4月~6月期の海外旅行の業況感(DI値)は前期比8ポイント増の-20となった。3か月後には1ポイント下降の-21を見込む。
国内旅行と訪日旅行も前期より回復。国内旅行は16ポイント増の+2、訪日旅行は9ポイント増の+2となった。ただし、3か月後は国内旅行が4ポイント下降の-2、訪日旅行も4ポイント下降で-2となる見通しとなった。
旅行市場動向の推移は以下のとおり。
海外旅行:総合旅行会社が上昇、韓国が大幅下落
業態別では総合旅行会社が前期の-14から25ポイント増の+11に大幅上昇。前回-50だったネット系旅行会社(OTA)も-16に好転した。
方面別ではヨーロッパが8ポイント増の-34で回復傾向に。ハワイやアジアは安定的に推移する一方、韓国は24ポイント減と大幅下落が止まらず-72に。アメリカ・カナダは4ポイント増の-24と緩やかな回復を示した。
客層別では商用・視察、インセンティブが上昇した一方で、教育旅行は14ポイント減の-36、学生旅行が12ポイント減の-50で大幅下降。シニアは2ポイント減、ファミリーも3ポイント減となった一方で、ハネムーンは横ばいで推移。今後は教育旅行やファミリーの上昇を見込む。
国内旅行:国内ホールセラーが再度大きく下落、方面別では九州・北海道が好調
業態別では、ホールセラーが3ヵ月前に-43から0に大幅回復したものの、今期は33ポイント減となり再度マイナスに転じた。一方で、OTAは24ポイント増で上昇傾向に。また、リテーラー2(取扱額が30億円未満の旅行業)は21ポイント増と好調を示した。方面別では北海道が21ポイント増、九州が18ポイント増と回復。低位ながら東北も16ポイント増と大幅回復を見せた。
客層別では団体旅行がすべての区分で上昇。個人観光旅行もOLとひとり旅、シニア、ファミリーそれぞれに上昇がみられ、3ヵ月後にはファミリーはプラスに転じる見通しとなった。
訪日旅行:リテーラーは上昇するもOTAは大幅低下、方面別では北海道が20ポイント減
全体現況は9ポイント増で前期の-7から2へとプラスに転じた。業態別では総合旅行会社が14ポイント増の30と好調、リテーラー1が30ポイント増、リテーラー2も18ポイント増と好調だったが、OTAは前期の100から134ポイント減と大幅に下降した。
方面別では北海道が20ポイント減と大幅下落。東北、関東、近畿などが下落傾向にあるなか、沖縄は17ポイント増。また、関東・関西のゴールデンルートやUSJ含む大阪・京都は緩やかに上昇。顧客種別では、FITが3ポイント増、団体が17ポイント増、MICEが19ポイント増となり、全体的に上昇傾向に。3ヵ月後はFITがさらに上昇する一方、MICEや団体は緩やかに下降する見通しとなっている。
この調査は、JATA会員各社の経営者などを対象にインターネットで実施。会員614社のうち回答があったのは341社。調査期間は2017年5月22日~6月12日まで。
同調査ではJATAによる質問に対して会員各社から「良い」「普通」「悪い」「取り扱っていない」の4種類評価を入手。その後「良い」割合から「悪い」割合を差し引き、「DI(Diffusion Index)」という景気動向指数に加工して発表している。そのため、数値は「すべて良い(100)」から「すべて悪い(-100)」までの範囲となる。