ツーリズムEXPO2017が終了した。旅の祭典として拡大を続けてきたイベントは、4年目を迎え、恒例のイベントとして定着しつつある。BtoB商談会の強化を目指した今年のツーリズムEXPOを写真で振り返る。
毎年、規模の拡大を続けてきたツーリズムEXPO。世界でも稀なBtoBとBtoCに同時にアピールするイベントとして成長を続けてきた。4年を経て、今年目指したのは「展示会から展示商談会への進化」。BtoBを強化した新たなプログラムや商談会の機会拡大で、それを実感した参加者も多かったことだろう。
BtoB(業界日)
拡大した商談会とネットワーキング、国内外のリーダーが集う
今年の最大の特徴がBtoBの強化。これまで都内中心地で消費者に向けて華やかに開催されてきた初日夜のイベント(JAPAN NIGHT 2016年の様子)は、BtoBの大規模レセプションに1本化された。また、国内外の企業・団体トップの交流を目指した世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)レセプション、業界日の参加者が集ったEXPO交流会なども実施された。
▼大規模レセプション「JAPAN」会場の乾杯の様子
▼菅義偉内閣官房長官「4000万人達成のため、できることはすべてやる」と明言
▼歓迎スピーチをおこうなWTTC会長のジェラルド・ローレス氏
▼「業界日」夜にはEXPO交流会を開催
一方、アウトバウンド・国内商談会は、同時開催されたか日本政府観光局の「VISIT JAPANトラベル&MICEマート」と連携を強化。両会場を行きかう人の姿も多くみられた。
▼今年は過去最大規模の商談会に
▼新設されたランドオペレーター商談会
「持続可能な観光」を深堀り、各国の取り組みや課題を共有
「グローバル観光フォーラム」では12か国から観光大臣・観光局長らが登壇。持続可能な観光の発展について、各国の取り組みが共有された。基調講演では、マレーシアが国家プロジェクトとしてエコツーリズムに着目していることを報告。エコツーリズムの推進が、森林の農地転換などを防ぎ、国土の自然を守ると同時に経済効果を生むサイクルを共有した。
▼12か国・地域の観光トップが各国の持続可能な観光への取り組みを3分でスピーチ
▼基調講演に立つマレーシのアダト・スリ・モハメッド・ナズリ・ビン・アブドゥル・アジズ観光文化大臣
BtoC(展示会)
行列の先にVR(仮想現実)、地域・企業の「個性」と「体験」が前面に
今年の展示会では、航空会社の座席から地域の観光素材まで「体験」が多く用意されていた。特にVR体験によるアピールは格段に増加したといっていいだろう。
昨年あたりから定着感がでてきていたが、今年の特徴は消費者側の体験意欲が高かったこと。行列の先にはVR体験があるという状況が各所でみられた。なかには、常に1時間から1時間半待ちというテーマパークなみのブースも。
▼韓国では、冬季オリンピックに向けてスキージャンプ競技のVR体験を用意
▼アメリカン航空は日本路線に導入したばかりのプレエコなど全クラスの座席をVR体験
▼JTBではVRによるパラリンピック車いすレース体験を提供
▼東北ブースではJR東日本が雪体験を提供
▼岩手県三陸地域の琥珀採掘の体験
▼JTBブースの一角ではハワイアンキルトの制作体験
▼今年の「どんぶり選手権」では指紋認証による決済も(出展者の登録推進キャンペーンで)
▼来年も9月に東京ビッグサイトで開催予定だ
そのほか、今年の会場のさまざまな表情をピックアップして紹介する。
今年も盛大に開催されたツーリズムEXPOが目指すのは、ロンドンのワールド・トラベル・マート(WTM)やドイツやシンガポールのITBに並ぶ世界最大級の旅行・観光の博覧会。その実現には、さらなる進化が求められることだろう。外国から、日本から参加する商習慣の違う観光関係者、双方が満足する仕組みが必要だ。
また、近年では世界の観光見本市も進化を続けている。直近で行われる10月のITBアジアの総合テーマは「旅行の未来(The Future of Travel)」。IBMやグーグルなどデジタル系企業が観光分野のAI(人工知能)の最前線トレンドなどを講演する。こうした世界の見本市トレンドを視野に入れた取り組みも求められることだろう。
来年のツーリズムEXPOのさらなる進化と深化に期待したい。
※ここで紹介した写真は会期中のごく一部。華やかな展示会の様子などは、主催者の写真ギャラリーでみることができる。
ツーリズムEXPO 公式サイト 2017年度 写真ギャラリートラベルボイス編集部 山岡薫