JALとハワイアン航空が提携、ANAのA380戦略に対抗、ハワイ/日本/アジア路線も視野に

日本航空(JAL)とハワイアン航空は、旅客利便性の向上を目的とした包括的業務提携を締結した。両社は、来年夏季ダイヤが始まる2018年3月25日から、双方の日本/ハワイ路線で、コードシェア運航、空港ラウンジの相互使用、マイレージプログラム提携などを実施する。また、ハワイ州内路線でのコードシェアも実現することから、ジャルパックはハワイアン航空便利用の商品造成も進めていく。

さらに、両社は今後、独占禁止法適用除外(ATI)を申請し、共同事業(ジョイントベンチャー)を立ち上げる予定。これにより、ダイヤ調整、運賃調整、販売活動、サービス品質向上などを一体となって実施していく。また、将来的には日本/ハワイ路線だけでなく、ハワイ/日本/アジア路線でも協力を進めていく考えだ。

なお、今回の提携によって、ハワイアン航空は現在の成田空港第1ターミナルからJALが利用する第2ターミナルへ移転する。

JALの植木義晴社長は会見で「両社は共通の価値観を持っている。今回の提携はJALハワイ路線の新たなスタートになる」と説明。ハワイへの旅行者を増やすことで、ハワイの観光産業の活性化に貢献していく考えを示すとともに、今回の提携によりハワイ路線の旅客利便性がさらに向上すると強調した。

また、植木社長は、今回の提携の背景について触れ、「2019年春には全日空(ANA)がA380をハワイ路線に投入するなど競争環境は厳しくなる」との認識を示した。ANAのハワイ戦略に加えて、アジア系LCCが関西/ホノルル線を開設するなか、JALとしてはハワイアン航空との提携で攻勢を強めていきたい考えだ。さらに、ハワイアン航空との将来的な関係についても言及。一般論と断ったうえで「必要があれば、資本参加も検討する」とした。

一方、ハワイアン航空のマーク・ダンカリー社長兼CEOは、「この提携によって、JALが発着する国内都市からの旅行者の利便性も高まる」と話し、日本の地方需要の開拓にも注力していく姿勢を示した。ハワイアン航空は現在ANAと提携しているが、今回のJALとの提携によってANAとは袂を分かつことになる。ダンガリーCEOは「ANAとは違う戦略の方向性になってしまった」と説明。「重視しているのは、旅客にできるだけ多くの選択肢を提供すること」としたうえで、JALとの共同事業に期待感を示した。

JALは今年9月15日に成田/コナ線を7年ぶりに再開。今年10月からはハワイ線全便にJAL SKY SUITEを導入し、年末年始には成田/ホノルル便をファーストクラス装備の777-300ERに大型化するなどハワイ路線を強化している。一方、ハワイアン航空は昨年12月に羽田/コナ線を新規開設。現在、東京1日3便、関西1日1便、札幌週3便を運航している。

(左から)ハワイアン航空上級副社長のテオ・パナジオトゥリアス氏、ハワイアン航空社長兼CEOのマーク・ダンカリー氏、JAL社長の植木義晴氏、JAL執行役員の大島秀樹氏

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