観光庁は、宿泊施設の経営環境の変化に対応する運営手法として注目される「泊食分離」などについて、宿泊施設と地域に対する実態調査を実施した。
対象は温泉街を対象とする観光協会と温泉組合、DMO(地域)、温泉街に立地する旅館やホテル、民宿、ペンション、ゲストハウスなど(宿泊施設)で、それぞれ無作為に抽出。有効調査票回収数は、地域が228件、宿泊施設が908件。
これによると、泊食分離を実施している地域は20.1%だが、今後の取り組み意向を示した地域は24.0%。宿泊施設に限ると32.0%と高く、取り組んでいない宿泊施設も20.6%が今後の取り組みに意欲を示した。いずれもインバウンドに積極的に取り組んでいるところは導入割合が高く、インバウンドが泊食分離を推進に繋がっている傾向がうかがえる。
一方で「取り組みたくない」という回答も目立つ。「取り組みたくない」「どちらかというと取り組みたくない」をあわせると、地域の場合は23.4%、宿泊施設の場合は41.1%にのぼる。
▼地域の導入実態
▼宿泊施設の導入実態
泊食分離の形態は?
泊食分離の形態については、「特に他施設と連携はしていないが泊食分離に取り組んでいる」(地域:56.5%、宿泊施設:63.2%)とも最多で、他の施設や地域全体での取り組みはまだ広く進んではいない。
また、導入する期待や実施効果については地域と宿泊施設で異なり、地域では顧客の確保手段としての導入による顧客満足度の向上や地域活性化の成果に対する評価が高かった。一方、宿泊施設側は顧客の確保手段としての期待が高いのは同じだったが、効果としては人手不足の解消やコスト削減など、運営の効率化に対する評価が高かった。
▼地域の導入実態
▼宿泊施設の導入実態
なお、泊食分離の導入のきっかけにもなった訪日外国人旅行者の集客について、取り組んでいると回答した地域は56.4%、宿泊施設は44.1%。受け入れてよかった点について「平日やオフ期の稼働率が向上した」「売り上げが増加した」などの良い面が上がった一方で、不安な点では「文化の違い(食事制限等)」「地域住人や施設関係者とのトラブル、マナー、ごみの問題」「日本人客の減少」「予約キャンセル」などがあがった。
調査ではこのほか、「共同購入」「湯めぐり」についても結果を発表。詳細は観光庁のホームページへ。
観光庁「宿泊施設の地域連携に関する調査」結果(PDF)