国土交通省は先ごろ「歴史的建築物の活用に向けた条例整備ガイドライン」を策定した。古民家など歴史的建築物を活用した魅力ある観光まちづくりにつなげるもの。今後は都道府県に対して通知をおこない、シンポジウムなどを通じて周知を進める。
現状、国宝や重要文化財などについては建築基準法を適用除外とする規定がある。しかし、それ以外の歴史的建築物を適用除外とするには地方自治体にて文化財保護法に基づく条例や独自の条例を制定しなければならず、これまで独自条例を制定したのは11団体に留まる状況だ。
このような状況を受け、国交省では条例制定のフローや各フェーズの留意点、安全確保のための代替措置の事例などを記載したガイドラインを策定。パブリックコメントの結果を踏まえ、今回公表するに至った。
なお、ガイドラインでは事例として、神戸市、京都市、横浜市、兵庫県、福岡市、川越市、岡山県、藤沢市による取り組みを紹介している。
例えば横浜市の旧円通寺客殿では、屋根の構造は不燃材料で造る措置が求められていたが、創建当時からの茅葺き屋根を保存するため代替措置を適用。自動首振り放水銃や炎検知設備などを設置したうえで建築基準法の適用を除外した。内外部の意匠や造作については、耐震対策として現行の建築基準法に適合させるための改修を実施。既存の外観や材料を活かしながら耐震性能を確保する補強を進めた実例が解説されている。