航空券の値動きを予測する旅行アプリ「ホッパー」が1億ドル調達、世界展開を本格化、主要都市のホテル取扱いも強化へ

カナダ・モントリオールを拠点に、モバイル向けの航空・ホテル予約アプリを手掛けるホッパーは2018年10月3日、1億米ドル(約110億円)のシリーズD増資を発表した。ホッパーの獲得資金は累計1億8400万米ドル(約202億円)。

ホッパーはモバイルに特化した旅行予約サービスに専念しており、プッシュ通知機能を活用した会話型コマースの事業モデルを採用。機械学習にも大きく投資し、2015年には北米地域内の航空運賃を対象に、価格変動を予測するアプリを実用化。旅行を計画している人に、レートが値上がりするか、割引ディールが出てくるかなどのレコメンデーションを通知している。同社によると、その精度は95%。2017年秋からはホテル宿泊レートについても同様の予測サービスを開始している。

Dラウンドのリードインベスターはオンタリオ州公務員年金基金(OMERS)ベンチャーズ。これまでもホッパーに投資しているケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)やベンチャーキャピタル数社に加え、今回は新たにシティ・ベンチャーズ(Citi Ventures)が参画した。

ホッパーでは今回の増資をうけ、今後、北米市場外での事業展開を本格化。同社の得意分野である北米都市間の航空券の変動予測に加え、世界主要都市のホテル宿泊料金の予測、航空券と宿泊のクロスセールスなどの拡充を狙い、AI開発にもさらに力を入れる。

同社の創業者の一人で、現最高経営責任者(CEO)のフレデリック・ラロンデ氏は「世界の旅行市場は1兆3000億ドル、このうちオンライン市場は6620億ドル、モバイル市場は2640億ドル。購買行動の主戦場はウェブからモバイル、特にアプリへ移行しており、オンライン上で過ごす時間の70~90%はすでにモバイルが舞台。さらにその92%はモバイル向けサイトではなくアプリだと推計している」とコメントし、ホッパーの優位性、先見性を強調している。

同社のアプリの累計ダウンロード数は3000万件。今年の年商は10億ドル超と見込んでいる。同社によると、通常、旅行系アプリは利用1カ月後に消去されるケースが大半だが、ホッパーでは売上の50%以上をリピーターが占めるという。価格変動への懸念が一定以上、払しょくされる効果で、早い段階から予約を確定するユーザーが多いのも特徴だ。

2018年に入ってからは、本拠地である北米以外の市場の成長が目立つようになっており、欧州域内やオセアニア市場での事業展開を加速することが今回の増資目的の一つ。現在は、取扱高の約25%を北米以外が占めているが、欧州で格安航空会社の取扱いを拡充したところ、売上が前年同期比154%増に大きく成長。オーストラリアでは、国際線も含めた事業展開に挑戦し、売上は同290%増と好調だ。今後は国際線の取扱いをさらに増やすことを視野に、言語や為替、価格のローカライゼーションに取り組んでいく方針だ。

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