国税庁は先ごろ、来年10月1日の消費税増税にあわせて導入される軽減税率制度について個別事例集を更新した。
旅行に関わる分野では、「『飲食料品の譲渡』の範囲等」で、「飲食料品のお土産付きのパック旅行」が追加。パッケージツアーで提供する飲食料品の土産は、交通や宿泊、飲食などと複合して提供され、旅行という包括的なサービスの一部(一の役務の提供を行なっている)とし、軽減税率の適用対象とならないとの見解を示した。旅行代金に含む弁当や飲み物等の消費税率は10%で、旅行代金の内訳として飲食料品の土産の金額を明示した場合でも、適用対象外となる。
また、いちご狩りや梨狩りなど味覚狩りの入園料については、「飲食料品の譲渡」に該当せず、軽減税率の適用対象としない見解が示されている。これは、顧客に果物を収穫させ、収穫した果物をその場で飲食させる役務の提供に該当するというもの。一方で、収穫した果物に別途対価を徴収する場合の販売は、「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となるという。このケースは、潮干狩りや釣り堀などでも同様の取扱いになるとしている。
ツーリズムEXPO内でも話題に、ケースによって異なる場合も
今回の国税庁による見解の更新以前に、9月のツーリズムEXPOジャパンの業界セミナーでは財務省の担当者による「消費税の軽減税率制度」の説明会が行なわれた。ここでも参加した旅行会社から「旅行会社が軽減税率の対象品目を販売するケースがある」とし、類似ケースの質問が行なわれていた。
例えば、ツアーや学校行事での弁当・お茶類の販売、ホテル等での会議手配における、弁当手配などだ。この場合、参加者が旅行代金とは別に追加注文し、その場で支払うケースなどもある。
説明会では質問に対し、財務省の担当者はケースによって異なる場合もあるとして、税務署等での確認を勧めた。
国税庁がこのほど更新した個別事例集は、以下の通り。
仕入れ(経費)で対象商品を購入するケースあり
上記のツーリズムEXPOジャパン2018での説明会では、2023年10月1日から導入されるインボイス制度(適格請求書等保存方式)を中心に、国税庁が制作した「よくわかる消費税・軽減税率制度」に沿って説明が行なわれた。
旅行会社は軽減税率の対象商品をメインとして販売する事業者ではないが、どの事業者も仕入れ(経費)で対象商品を購入するケースがある。軽減税率制度の導入後は、税率ごとに区分した消費税の申告が必要なため、日々の業務での取扱商品や仕入れの適用税率の確認、経理では税率を区分した帳簿・請求書の記載や、2023年10月からの適格請求書等(インボイス)の交付・保存が必要になるとし、導入準備としてこれらに対応できる経費精算の仕組み作りと社員への周知を行なう必要があるとした。
また、適格請求書の発行は登録制度であるため、税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録を受ける必要があることも説明された。