北東アジア初の統合型リゾート(IR)「パラダイスシティ」が最新のエンタテインメント施設、ワンダーボックス(WONDERBOX)を2019年3月31日にオープンする。一足早く3月27日に開催された記者発表会では、その全貌が明らかになった。独創的なメディアアートとアトラクションを融合させた幻想的な室内型テーマパークはパラダイスシティの新たなチャレンジであり、大きな起爆剤になる可能性を秘めている。韓国で行われた記者発表会と新施設の様子を取材してきた。
ワンダーボックスのメインターゲットは、ファミリー層。ラグジュアリーなホテルやスパ、カジノを有するIRの間口がより広がることになりそうだ。
記者発表会の挨拶に立ったパラダイスセガサミーのアン・チャンワン副社長は、ワンダーボックスを「スペースマーケティングの戦略地としてグローバルに観光客を誘致できる」とアピール。韓国において唯一無二の室内型エンタテインメント施設に自信をみせた。
スパやクラブに隣接するワンダーボックスは約3933平方メートル(約1200坪)を有する巨大な箱で、中は吹き抜けの2階建て。入口を入ってすぐ目に飛び込んでくるのは、スライダーが巻き付いた巨大なシンボルツリーだ。すぐ向かいでは観覧車が回り、2階にはレトロなメリーゴーランドが回転している。童話の世界が3Dになったような造り込んだ世界は、コンセプトである“夜の遊園地”そのもの。
夜の遊園地をより幻想的に彩っているのは多彩なメディアアート。手掛けているのは世界的に知られるマルチメディアエンタテインメントスタジオの「モーメントファクトリー」だ。さまざまな映像世界が絶え間なく映し出されるメディアファサードやテーマの1つ“タイムトラベル”を表した鍵穴のメディアアートは人の動きと連動するインタラクティブな演出が施されている。
スリルライドや人気スイーツが点在、参加できるパフォーマンスも魅力
園内は主に10のアトラクション、9つのカーニバルゲーム、個性的なデザートショップで構成されている。韓国初導入のスポーツアトラクション「スカイレール」や360度回転する「メガミックス」はスリル満点のアトラクション。景品が当たるカーニバルゲームやメリーゴーランドは一見子供向けだが、一緒にいる大人も思わず写真を撮りたくなるような凝った造りで、幅広い年齢層が楽しめるよう工夫されている。
デザートショップでは、アジア最高のペストリーシェフ、ジャニス・ウォンの韓国初出店となるチョコレートストリートが話題。“食べられるアート”と称されるジャニスのカラフルなチョコレートを味わえるのは、今韓国でワンダーボックスだけだ。アイスクリームのデザートトラックは、韓国で人気のビストッピング(Bistopping)が出店。コーンやアイス、トッピングを自由にカスタマイズできるかわい過ぎるアイスとして話題を集めている。
ワンダーボックスが最高潮に盛り上がるのは、観客参加型のパフォーマンス「ルナ・カーニバル」だろう。月の光とともに現れるサーカス団のパフォーマンスは、本格的で洗練された印象。観客はカーニバルのコスチュームを身につけたり、大きなボールを転がしたりと、子供も大人も参加できる体験型コンテンツとなっている。公演は月曜日を除く毎日、1日6回行われ、このうち2回はワンダーボックスの外でパレードを行う予定だ。
ワンダーボックスでIRとしてのポジショニングを強化
同社ライフスタイル事業本部の内島崇事業本部長は、「ワンダーボックスは大人の童心も引き出す今までにない遊び空間で、新しい概念のテーマパーク」と説明している。メインターゲットも明確で、10代の子供がいる1975~2000年生まれのミレニアルファミリーに設定。感度の高いこの層を動かすことで、ローカルの牽引を期待したい狙いだ。日本マーケットにおいても「小さな子供連れを含むファミリーに訴求できる」(内島氏)としており、ワンダーボックスにおける外国人旅行者の割合はひとまず3割を目指すという。
ワンダーボックスは月~金曜日が10:00~21:00、土、日曜日と祝日が10:00~22:00の営業。入場料は1Dayパスが大人W28,000、子供W20,000だが、ホテル宿泊者やカジノカードの保有者には割引が適用されている。
“アートテインメント”をモチーフに2017年4月に開業したパラダイスシティは、1次施設として全711室のパラダイスホテル&リゾート、外国人専用のパラダイスカジノ、国際MICEに適したコンベンションをオープン。2018年9月の2次施設ではブティックホテルのアートパラディソ、プレミアムヒーリングスパのシメル、北東アジア最大のクラブ、イベント型ショッピングアーケードなどオープンさせており、この度のワンダーボックス立ち上げで第1期工事が完了した。33万平方メートル(10万坪)の敷地はまだ3分の1を残しているが、次の計画は顧客データの分析や社会情勢の変化を見て検討していく考え。当面はワンダーボックスの開業で注目度を高め、IRとしての総合力を強化していくとしている。
取材・記事 竹内加恵