国連世界観光機関(UNWTO)のスラブ・ポロリカシュヴィリ事務局長は2020年6月4日、「ツーリズムの再始動(Restarting Tourism)」を呼びかける声明を発表した。
ポロリカシュヴィリ事務局長は、コロナ危機対策においては「ローカルおよびグローバルの両レベルで時勢を読み、適切な判断を下すことが終始重要となってきたが、ようやくツーリズムを再始動する時期が到来した」と宣言。世界の複数の国で、移動への規制を緩和する動きが始まっているほか、政府や民間企業が安心と信頼回復に向けて動き出していると指摘した。
そして、厳しい状況下でもUNWTOのもとで団結し、それぞれの知見を共有してきたツーリズム産業の連帯を称え、「共に行動することで、我々はもっと強くなる。ここから次のステージへと進む際にも、引き続き、お互いの協力は必要不可欠だ」とコメントした。
UNWTOでは先週、5回目となるグローバル観光危機委員会を開催し、今後の観光再開に向けたガイドラインを策定したばかりだが、今回の声明発表では、「イノベーション」と「サステナビリティ」を推進する方針は堅持することを明言。この2点を「我々の産業にとって、もはや一部における小さな問題などではなく、すべての根幹。(危機後の)ツーリズム再スタートにおいても、我々が目指すべき方向性は、人々と地球のためになるツーリズムだ」(ポロリカシュヴィリ事務局長)とした。
こうしたニューノーマルならぬ「ニューツーリズム」には、各国政府や企業からの支持も増えているが、旅行者自身にも同じビジョンを共有してもらえるよう、UNWTOではCNNインターナショナルとの「#TravelTomorrow」メッセージ展開などを行っている。同事務局長は「これから旅行する人には、自分の選択によって、世界をポジティブに変えることができるということを意識してほしい」と訴えた。