国連世界観光機関(UNWTO)は、世界の旅行規制に関するレポートの最新版を発表し、最新データから旅行規制の緩和と国際旅行需要の回復に向けてはワクチン接種とデジタルソリューションの導入が不可欠との報告をまとめた。
レポートによると、2021年6月1日時点で、世界全体で29%の国が依然としてインバウンド市場を閉鎖しており、このうち半数以上が2020年5月から閉鎖を継続している。その大部分がアジア太平洋の島国となっており、同地域の70%の国が依然として完全に国境を閉鎖。ヨーロッパの13%や南北アメリカの20%と比較するとかなり高い割合となっている。
また、部分的な規制を設けている国は34%。36%の国が、入国時の陰性証明の提示と、場合によっては隔離措置を設けている。さらに、現在変異株の懸念が拡大していることから、42%の国が変異株が広がっている国に対して、飛行停止、国境閉鎖、強制隔離など強力な規制を設けている。
データに基づくと、ワクチン接種のスピードと規制緩和には関連性があり、ワクチン接種率の高い欧州連合では、加盟国間の協力体制が整い、国際観光客の徐々に回復を見せ始めている。このことから、UNWTOのスラブ・ポロリカシュヴィリ事務局長は、「各国政府は、関係国と協力関係を築き、データに基づいてデジタルソリューションを活用しながら、旅行市場再開に取り組んでいく必要がある」との見解を示した。
このほか、全体の17%の国がワクチン接種者に対する特例措置を設けており、そのなかには完全に規制を解除した国もある。UNWTOでは、今後数週間で、そうした国はさらに増えると予想している。