ANA、欧州路線を大幅拡大、ミラノ、ストックホルム、イスタンブールに新規就航、日本人の海外旅行の復活後押し

ANAは、2024年12月から羽田/ミラノ、ストックホルム、イスタンブール線に新規就航し、欧州路線を大幅に拡大する。7月1日からは、羽田/パリおよびミュンヘン線を毎日運航に増便し、さらに8月1日から羽田/ウィーン線も復便。冬季ダイヤからは、欧州線は8カ国9都市へ週49便に拡大することになる。

新規就航する3路線はいずれもコロナ前に就航を予定していた路線。記者会見でANA井上慎一社長は会見で「ついにここまで戻れた。感無量」と話した。

羽田/ミラノ線は12月3日から週3便で就航。機材はボーイング787-9(215席)を投入する。以前は、関西/ミラノ線を運航していたが、羽田発の定期便としては初の就航都市となる。

ANAは7月にイタリアの鉄道会社「Trenitalia(トレニタリア)」と提携。これにより、ミラノ・マルペンサ空港からイタリア国内25都市をはじめ、欧州の主要都市と接続する。同路線の需要については、日本発が6割、海外発が4割を想定。井上社長は「ミラノは、日本人海外旅行者にとって、関心の高い都市」と話し、レジャー旅行需要の取り込みに意欲を示すとともに、ビジネス需要やインバウンド需要も期待できることから、「バランスのいいマーケット」と位置付けた。

羽田/ストックホルム線は2025年1月31日から週3便で就航する。機材はボーイング787-8(184席)。同路線については、日本と欧州各都市への乗り継ぎ需要を5割程度を見込むほか、井上社長は「日本発で唯一の直行便になることから、北欧を新たな海外旅行の選択肢にしていきたい」と話した。

また、羽田/イスタンブール線は2025年2月12日から週3便で就航。機材はボーイング787-8(184席)。当面はイスタンブールへの需要並びに中東・アフリカへの乗り継ぎ需要を見込む。日本発のレジャー旅行需要では「海外旅行に精通した層への訴求を強めていく」考えだ。

いずれも、7月22日から航空券の販売を開始する。

新規就航路線の運航スケジュールは以下の通り。

  • NH207 羽田0:15発/ミラノ08:30着/火・木・日
  • NH208 ミラノ10:30発/羽田07:30(翌日)着/火・木・日
  • NH221 羽田00:30発/ストックホルム06:20/火・金・日
  • NH222 ストックホルム09:35発/羽田07:20(翌日着)/火・金・日
  • NH219 羽田08:15発/イスタンブール15:55着/月・水・土
  • NH220 イスタンブール18:10発/羽田11:20(翌日)着/月・水・土

新規就航について説明する井上社長

安定的な航空燃料供給体制の構築を

このほか、井上社長は、回復が遅れる日本人の海外旅行市場について、「数字的にはまだ鈍い」としたながらも、「直近6月の旅客数は前年比で1.3倍に伸びているので、縮小はしていない。重要なのは旅行者のマインドだが、冷え切ったマインドが少しずつ融けはじめている」との見解を示したうえで、ANAとしては海外旅行復活のムーブメントを後押ししていくと強調した。

また、新規就航のタイミングについては、欧州路線での乗務員の稼働の準備が整ったことを大きな要因として挙げた。現在、ロシア上空を飛行できないことから長時間フライトになるため、乗務員の稼働が課題となっていた。

さらに、航空燃料不足の課題についても言及。現時点で運航に影響はなく、増便分についても問題はないとしながらも、「国内線のネットワークの維持、国際線の生産量拡大においては喫緊の課題。インバウンドの政府目標の実現のためにも、安定的な供給体制を構築していくことを希望している」とコメントした。

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…