日本旅行業協会(JATA)は、「インバウンド旅行客受入拡大に向けた意識調査」の第3回アンケート分析結果を明らかにした。調査は2024年7月1日~22日、全国1161件の観光事業者や自治体から回答を得たもの。
それによると、インバウンドの取り扱いがない事業者による将来の受け入れ計画について、受け入れに肯定的な回答は前回調査の51%から44%に減少。その理由として最も多いのは、前回調査と同様に「人手不足」(61%)だった。また、「外国語対応スタッフの雇用」や「多言語インフラの未整備」が増加。さらに、「オーバーツーリズムの懸念」も9%から16%に増えた。
また、「インバウンドは2019年の水準以上に戻った(概ね90%以上)」との回答は、第1回の14%、第2回の30%から第3回は41%へと段階的に増加し、着実に回復していることが伺える結果となった。
重要な市場は「台湾」、万博への期待は限定的
2024年7月時点において、インバウンドで最も重要な市場は台湾で、他市場を20ポイント以上引き離した。次いで中国、東南アジア、北米、欧州、香港、韓国と続く。
地域別で見ると、台湾が前回の45%から49%、中国が25%から29%、東南アジアが24%から27%に増加。北米が20%から25%、欧州も20%から25%と増加し、欧米市場がアジアと並び重要な市場として認識されているようだ。
このほか、2025年に開幕する大阪・関西万博について、「万博をきっかけにインバウンド観光客を誘致することを検討している」とした回答者は、前回同様の31%にとどまった。関西に拠点を持つ回答者の関心度は、第1回調査では61%と高かったものの、第3回調査では48%まで下落している。
また、半数以上(52%)の回答者が「万博を契機に日本と海外の国際交流を推進する予定や計画を特に検討していない」と回答。関西に拠点を置く事業者の中でも、該当する予定・計画は3割にとどまり、万博への期待や行動は限定的だ。