JTBグループで旅行会社や宿泊施設などのウェブサイト制作や運用業務を行なうJMCはこのほど、日本国内の美術館のウェブサイトの実態調査を実施した。JMCでは最近、旅行出発後のモバイル対応や訪日客向けの多言語対応への依頼が急速に増加しているが、美術館や博物館のウェブサイトは情報量やデザイン、多言語対応の状況がまちまちだという。
調査対象は、独立行政法人や都道府県立、市区町村・私立の美術館と博物館の計158サイト。このうち、外国語対応をしているサイトは全体の75.3%にあたる119館で、いずれも英語のページを開設。次いで、韓国語が25.9%(41館)、中国語・簡体字が25.3%(40館)、中国語・繁体字が9.5%(15館)だった。そのほか、ロシア語、タイ語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語対応があったが、いずれも数館だった。
多言語での情報提供は、日本語ページと同等の内容を提供するサイトがある一方で、PDFファイルのパンフレットへのリンクのみの用意や、美術館へのアクセス情報などの端的な記載や、日本語サイトと更新頻度が異なるケースもある。また、複数の外国語ページのリンクがある場合でも、英語のみが充実しているケースが多かったという。
また、スマートフォンやタブレット端末に最適化するレイアウト(レスポンシブウェブデザイン)を採用する美術館サイトは全体の7.0%(11館)、レスポンシブウェブデザインを採用せずにモバイル専用サイトを別URLで運用する美術館は37.3%(59館)あった。この場合、アクセス情報や最新展示情報など限定された情報提供になっている。モバイル対応は上記の2つを合わせても44.3%にしかならず、残りの55.7%はモバイル未対応ということになる。
JMCでは今後は外出先でサイトを閲覧するニーズに対応するため、異なる閲覧環境でも同じURLで同じコンテンツが閲覧できるようにする配慮が必要だと提言。今後、インバウンド、モバイル、SNSをポイントとしたウェブサイトのコンサルティングとユーザビリティの高いサイトの提案を行なっていく予定だ。
なお、今回の調査の総合評価トップは東京国立博物館で、100点満点中85.7点を獲得。次いで、ちひろ美術館と九州国立博物館が71.4点で同率2位となった。上位の美術館サイトは多言語対応の言語数や範囲のほか、バリアフリー情報など来館者向けの情報提供が充実している傾向が強かった。