中国大使館(中華人民共和国駐日本国大使館)は、このほど観光3団体が3000名規模で中国を訪問した「日中観光文化交流団」のイベントで習近平国家主席が行った演説の全文をホームページに掲載した。
交流団は、2015年5月22日から24日にかけて日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)、日本観光振興協会(日観振)の3団体から3000名の関係者が中国を訪問したもの。2014年11月に上海で開催された太田昭宏国土交通大臣と李金早国家旅遊局長の会談で、2015年~2016年の2年間に日中双方の交流拡大に向けた取組みを具体化していくことが合意されたことを受け、ANTA会長を務める二階俊博自民党総務会長の後押しで実施された。
習近平主席は、演説の中で個人的な体験に触れながら、両国の友好事業が両国と両国民、アジアと世界にとって有益で、一層大切にしていくべきものとの考えを示した。そして、「両国関係の発展が順調でない時ほど、両国各界の人々が積極的に行動する必要があり、双方が民間交流を強化し、両国関係の改善と発展のために条件と環境を整える必要があります。」として観光に携わる日本の関係者に交流促進を訴えた。
大使館が発表した習近平主席の中日友好大会での演説全文は以下のとおり。
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来賓のみなさん、友人のみなさん
こんにちは。2000年余り前、中国の大思想家、孔子は、友あり遠方より来る、また楽しからずや、と言いました。きょう、日本各界の人々3000人が遠方より来て、北京の人民大会堂に集まり、中国側と共に中日友好大会を開きました。これは近年の両国民間交流の盛事であり、またわれわれに大きな喜びを感じさせるものです。
まず私は中国政府と人民を代表し、また私個人として、日本の友人のみなさんの来訪に心から歓迎を表明します。私はまたみなさんを通じ、広範な日本人民に心からのあいさつと祝福を述べたいと思います。
中日は一衣帯水で、この2000年余り、平和と友好が両国人民の心の主旋律であり、両国人民は互いに学び合い、参考にして、それぞれの発展を促し、また人類文明の進歩のため重要な貢献をしました。
1週間余り前、インドのモディ首相が私のふるさとの陝西省を訪問し、私は西安でモディ首相と共に中印の古代文化交流の歴史を振り返りました。隋唐の時代、西安はまた中日友好交流の重要な門戸でした。当時、日本から多くの使節や留学生、僧侶が来て学び、生活しました。その中の代表的人物が阿倍仲麻呂で、中国唐代の大詩人、李白や王維と深く友情を結び、感動的美談を残しました。
私は福建省で仕事をしていた当時、中国の名僧、隠元大師が日本に渡った話を知りました。日本で隠元大師は仏教の教義だけでなく、先進的文化と科学技術も伝え、日本の江戸時代の経済・社会発展に重要な影響を与えました。2009年、私が日本を訪問した際、北九州などで両国人民の途切れることのない文化的根源と歴史的つながりを直接感じました。
近代以降、日本は対外侵略拡張の道を進み、中日両国は痛ましい歴史を体験し、中国人民に深く重い災難がもたらされました。1970年代、毛沢東主席、周恩来総理、鄧小平氏と田中角栄氏、大平正芳氏ら両国の一世代前の指導者が高い政治的知恵で重要な政治的決断を行い、さまざまな困難を乗り越え、中日国交正常化を実現し、平和友好条約を締結し、両国関係の新たな時代を開きました。廖承志氏と高碕達之助氏、岡崎嘉平太氏ら有識者は積極的に奔走し、多くの活動をしました。
歴史が証明しているように、中日友好事業は両国と両国人民にとって有益で、アジアと世界にとって有益であり、われわれは一層大切にし、心から守り、今後も努力を続けていくべきものです。
来賓のみなさん、友人のみなさん
隣人を選ぶことはできますが、隣国を選ぶことはできません。「徳は孤ならず、必ず隣あり」(徳ある者は孤立することはなく、必ず仲間がいる意)と言います。中日両国人民が真に誠実に友好的で、徳をもって隣人と接するなら、必ず子々孫々続く友好を実現できます。中日両国は共にアジアと世界の重要な国で、両国人民は勤勉、善良で、知恵に富んでいます。中日の平和、友好、協力は人心の向かうところ、大勢の赴くところです。
中国は中日関係の発展を非常に重視しており、中日関係が風雨に遭っても、中国のこの基本方針は常に変わらず、今後も変わることはありません。われわれは日本側と共に、中日の四つの政治文書を踏まえ、両国の善隣友好協力を推進したいと願っています。
今年は中国人民抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利70周年です。日本軍国主義の当時の侵略の犯罪行為を隠すことは許されないし、歴史の真相をわい曲することは許されません。日本軍国主義の侵略の歴史をわい曲し、美化しようとする言動を中国人民やアジアの被害国人民は受け入れることはないし、正義と良識のある日本人民も受け入れることはないと信じています。前のことを忘れず、後の戒めとしなければなりません。歴史を銘記することは未来を開くためです。戦争を忘れないのは平和を守るためです。
われわれは日本人民もあの戦争の被害者であると考えています。抗日戦争終結後、中国人民は徳をもって怨に報い、中国にいた日本人100万人の帰国を支援し、数千人の日本人戦争孤児を育て、中国人民の大きな度量と限りない大きな愛を示しました。
今日、中日双方は歴史を鑑とし、未来に向かう精神に従い、平和的発展を共に促し、子々孫々の友好を図り、両国が発展する素晴らしい未来を共に築き、アジアと世界の平和のために貢献しなければなりません。
来賓のみなさん、友人のみなさん。
中日友好の基盤は民間にあり、中日関係の前途は両国人民の手に握られています。両国関係の発展が順調でない時ほど、両国各界の人々が積極的に行動する必要があり、双方が民間交流を強化し、両国関係の改善と発展のために条件と環境を整える必要があります。
「若者が元気で国は栄える」。きょうの大会の出席者の中に若い友人が少なくありません。中国政府は両国の民間交流を支持し、両国各界の人々、特に若い世代の人たちが中日友好事業に勇躍身を投じ、交流と協力の中で理解を増進し、相互信頼を築き、友情を発展させるよう励ましています。
前の人が木を育て、後の人が木陰で涼む。私は両国の若者が友好の信念を固め、積極的に行動し、絶えず友情の種をまき、中日友好を大樹に育て、木々が生い茂る森林にし、両国人民の友好を子々孫々続けることを心から期待しています。
最後に今回の中日友好交流大会が大きな成功を収めることを願い、また日本の友人が中国滞在中、楽しく過ごすことを願っています。
みなさん、ありがとう。