矢野経済研究所は「屋内位置情報システム市場に関する調査結果2015」の結果として、国内における2015年度の屋内位置情報システム市場規模は108億円(事業者売上高ベース)の見込みだと発表した。内訳は、BtoBが92億円、BtoCが16億円。
屋内位置情報システムとは、「屋内測位技術」や「屋内地図情報」を利用したサービス/ソリューションのこと。BtoBでは工場や倉庫、病院やオフィスで主に「ヒト・モノ管理」で、BtoCでは観光をはじめ、商業施設や公共施設、駅などで、集客強化を目的としたポイント付与のチェックインサービスや、ナビゲーションサービスなどが提供されている。
現在はBtoBが市場規模、技術とも先行。BtoCは、観光分野でも利用されることの多いチェックインやナビゲーションで一定の普及が進んだものの、期待されているOtoO目的のアプリ開発は伸び悩んでいるという。
今後の方向性としては、人流解析や回遊分析などによるマーケティング支援や、業務効率化支援を目的とする行動分析、子供や高齢者などの見守りサービスなどが、推進される分野として期待されている。また、BtoBではIoTやウェアラブル機器を活用した関連サービスやアプリ開発が注目されている。
さらに2020年度には、屋内位置情報システム市場規模は3倍強の365億円に達すると予想。当面はBtoBが市場を牽引し、現在の92億円から200億円への倍増を見込むが、徐々にBtoCの市場拡大が加速するとも予測。現在の16億円から165億円へと10倍強となり、BtoBに迫る規模に成長するとみている。
ただし、市場拡大への課題として矢野経済研究所では、(1)消費者の期待を満たすソリューションの開発、(2)新たなマネタイズ手法の提供、(3)屋内位置情報システムのデファクト化/社会インフラ化の推進による事業機会損失の防止、の3点をあげた。