ユーロモニターは「世界中で『爆買い』する中国人旅行者」と題した報告書を発表した。世界各国での中国人旅行者の消費傾向と各国での対応をまとめ、変化する中国人旅行者に対する対応も検討している。
これによると、中国人の海外旅行は各国でも増加しており、例えばタイでは2012年から1年で1.6倍に急増。2015年には700万人を超える見込みだ(タイ政府予想)。2015年11月にはビザ要件が緩和されており、さらなる需要増加が見込まれている。
また、アメリカでも2010年から2014年にかけて倍増し、学生を含む現地在住の中国人を訪ねる家族や友人などのVFR需要が増加。オーストラリアでは米国やイギリスを抜き、ニュージーランドに次ぐソースマーケットとなった。
このような状況のなか、各国で中国人が購入しているものは何か?
タイやアメリカ、そしてヨーロッパで最も多い旅行先であるフランスでは、高級ブランド品が人気。特には経済が低迷するフランスでは、中国人旅行者による消費が高級ブランド品需要を押し上げており、フランスで購入されるバッグの高級品比率は、2010年の50%以下から2015年には70%以上を占めるまでになったという。
また、オーストラリアでは粉ミルクの需要が急増。現地で大量に購入し、中国国内でネット販売をする人が増加した。食のクリーンなイメージが強いことから、オースラリアから中国に輸出される生鮮食品は、2005年から2014年まで年平均17.6%増で拡大。また、ビタミン剤やサプリ等も爆発的に売れているという。
各国も対応を強化しており、高級ブランド店では北京語や広東語を話すスタッフ採用に力を入れているほか、免税店チェーンのDFS Galleriaでは中国人旅行者に人気の商品を分析し、商品ラインナップを入れ替える取り組みを開始した。
中国国内でも、特に体験を重視するミレニアル世代の若者を意識したサービスも展開。ファッションショーをバーチャルリアリティで楽しめるヘッドセットの導入や、オーダーメイド製品の完成を待つためのプライベート空間の用意など、店内での買物体験を充実させる取り組みを行なっているという。
なお、ユーロモニターでは今後も中国人海外旅行者の増加が続くと予想。中国政府が地方都市の空港・航路の整備を進めていることから、地方都市からの旅行者も増加するとし、北京語や広東語を話せるスタッフの配置や、FITの増加に対応したオンライン予約の整備なども重要になるとしている。