京都市は2016年10月31日、同市の宿泊施設拡充や民泊に関する方針を示す「京都市宿泊施設拡充・誘致方針」を公開した。
先に作成した素案に対して9月からパブリックコメントを受け付け、その結果を反映したもの。パブリックコメントでは303名から合計426件の意見が寄せられたという。宿泊施設拡充・誘致方針策定にあたり、「宿泊の質を高め、観光の質を高めることが、量の確保につながる」を宿泊政策の基礎として提示。京都の持続的な発展や観光立国・日本に貢献するための方針として「5つの考え方」を示した。内容は、(1)地域や市民生活との調和を図る、(2)市民と観光客の安心・安全の確保、(3)多様で魅力ある宿泊施設の拡充、(4)宿泊施設の拡充・誘致を地域の活性化につなげる、(5)宿泊施設の拡充・誘致により京都経済の発展/京都に伝わる日本の文化・心を継承発展させる。これらを軸に具体的な取り組みの方向性を示したものとなっている。
民泊については、独自のルールを策定し、「京都らしい良質な宿泊サービス」を徹底する方針。今後の国の法整備の方向性を注視するとともに、地域の実状に応じたものとなるよう要望を実施。民泊新法の詳細が判明後、具体的な取り組みの検討を進める。
なお、パブリックコメントで寄せられた意見で最も多かったのは「民泊に係る取組と本市の考え方」関連(構成比62.4%)、次いで「宿泊施設の拡充・誘致に対する取組」関連(同22.3%)だった。
主な意見としては「違法民泊については厳しく取り締まってほしい」をはじめ、「住居専用地域での民泊設置に反対する」「集合住宅内での民泊は禁止してほしい」「ホームステイ型の民泊については規制を緩和してほしい」といった複数の意見が集まった。また、宿泊施設の拡充・誘致については、「京都駅周辺における高さ制限を緩和し、大型の宿泊施設を誘致すべき」「市街化調整区域や住居専用地域での特例許可は慎重にすべき」といった意見が寄せられたという。
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