コスモスイニシアは分譲マンション開発と建築ノウハウを活用し、都市部でのホテル開発と運営事業を開始することを発表した。
都市観光に対応する東京、京都、大阪エリアで、ターミナル駅周辺の交通利便性が高い立地を対象としており、すでに8棟のプロジェクト用地を取得。3~5名の家族やグループ客でも快適に滞在できるアパートメントホテルで6棟、その他ビジネスホテルとカプセルホテルを展開する予定だ。うち5棟は2018年に開業を予定とする。
アパートメントホテルでは都市部にありながら、1室40平米程度を中心。「暮らすように滞在する」をテーマに、和のデザインで寝室とリビング・ダイニングを全室に確保し、ミニキッチンと食器、調理器具を常備する。客室数40室程度の小規模なホテルから事業化する方針。アパートメントホテルは自社運営、ビジネスホテルとカプセルホテルは外部委託を予定している。
市場環境を踏まえ、観光分野に注目
政府が観光に力を入れ、訪日外国人旅行者が増加するなか、コスモスイニシアでは2016年5月に策定した中期経営計画で、宿泊事業への転換を表明。同社が事業基盤を置く都市生活分野に関連する分野として、マンション開発のノウハウを生かしていく。
コスモスイニシアでは、子会社「コスモスホテル開発」で1990年~1999年まで、川崎と晴海でコンバージョンによるシティホテルを運営した経験はある。しかし、ホテルの新規物件の開発・運営は初めてで、今回が宿泊事業への本格参入といえる。
事業開始にあたり、訪日外国人のニーズを調査し、事業の主力を家族やグループ客に対応できるアパートメントホテルに決定。海外での主要都市では一般的だが、日本の都市部のホテルではまだ少ない点に目を付けた。日本人の旅行は2泊程度の短期間の滞在が多いが、アパートメントホテルでは訪日客の滞在スタイルにあわせ、中長期の滞在も見込む。
国内人口が減少するなか、不動産関連会社が事業フィールドを国が成長分野として力を入れる観光にも広げてきている。その方向性はホテル・旅館から民泊関連まで各社によって異なるが、今後もこの流れは強まっていきそうだ。