米エクスペディアは2016年度(2016年1~12月)の決算を発表した。それによると、営業収益は32%増の87億7400万米ドル(約9651億円)、減価償却前営業利益(Adjusted EBITDA)は同39%増の16億1600万米ドル(約1778億円)、営業利益は同7%減の4億6200万米ドル(約508億円)、純利益は同29%増の6億9900万米ドル(約769億円)、親会社株主に帰属する純利益は同32%減の2億8200万米ドル(約310億円)。また、総予約額は同21%増の724億3200万米ドル( 約7兆9675億円)となった。いずれの実績も昨年5月22日に売却したeLongを除いたもの。
※円換算は1ドル110円としてトラベルボイス編集部が算出。
商品・サービス別の状況
商品/サービス別の営業収益の割合は、ホテルが61%、広告/メディアが9%、航空が9%、ホームアウェイ事業(民泊)が8%、その他が13%。ホテルでは、Hotels.comやExpedia、アフィリエイトネットワーク(EAN)の好調な推移により販売客室数が21%増。その結果、収益は同16%増となった。
航空は、航空券販売が32%増で収益は39%増に。広告/メディアは、Expedia Media Solutionとtrivagoが順調に成長したことから、収益が43%の大幅増。その他の収益は、ホームアウェイ事業が加わったことで前年比2倍(101%増)に。ホームアウェイ事業以外では、カーレンタルと旅行保険を含むその他の収益は同29%増となったのが特徴といえる。
コアOTAブランド別の状況
今回の決算は、2015年9月に買収したオービッツ、12月に買収したホームアウェイの実績を初めて通期で含めたもの。そのほか、エクスペディアは2016年、amazonによるAI(人工知能)対応音声アシスタント機能「Alexa」を使った顧客対応サービスや、コミュニケーションサービス「Skype」上で旅行の相談ができるチャットボットサービスなど、テクノロジーを駆使した事業展開にも積極的だった。こうしたテクノロジーへの投資額は2016年は12億3500万米ドル(約1359億円)。2015年の8億3020万ドル(約913億円)から約1.5倍の投資額となっている。
コアOTAのエクスペディアブランド事業では、「エクスペディア・ジャパン」を展開して10年目となる日本のほか、オーストラリア・ニュージーランド地域でも総予約額が10億米ドル(約1100億円)を達成。アジアではモバイル経由の販売客室数が第4四半期のみで65%増と急成長した点も特徴だという。
また、OTA事業Hotels.comでは、2008年のリワードプログラム開始以来、2700万人の会員を獲得し、10億米ドル(約1100億円)以上に相当する無料宿泊交換の実績を記録。宿泊料金比較のtrivagoは、第4四半期にすべての地域において売上が急増。為替変動の影響を除き、130%以上の成長を見せた地域もあった。
民泊事業を行うホームアウェイは、エクスペディアに2万軒以上の新たな宿泊先を提供し、旅行者の宿泊先選定時の体験向上に大きく貢献。2016年のホームアウェイによる総予約額はおよそ60億米ドル(約6600億円)に達し、年率46%増の成長に。オンライン予約による宿泊日数実績は前年比48%増の2200万人に至った。
出張管理を行うBtoBサービス・Egencia事業でも、2016年にホームアウェイの民泊物件をビジネス旅行の宿泊先候補とするパイロットテストを開始。2017年には正式に統合する見通しという。