東京商工リサーチは、2016年度における旅行業の「業績・休廃業・解散」調査の結果を発表した。結果によると、国内旅行会社の厳しい経営状況と規模の格差が鮮明となっている。
2016年に倒産、休廃業、解散した旅行業の合計は107社。そのうち、倒産は27社、休廃業と解散は前年度より11社多い80社となった。休廃業と解散は2008年度以降、毎年60社以上のペースで推移しており、倒産を含めると2013年度以降毎年約100社が消滅していることになる。
2016年度に休廃業・解散した80社を資本金別でみると、1億円以上はゼロだった一方、資本金1,000万円未満は33社(構成比41.2%)、個人企業は4社(同5.0%)で、小・零細規模の企業が半数を占めた。
また、全国の旅行業1,700社の2016年度の売上高合計は、2兆6,241億3,100万円で前年度より609億300万円(2.2%)減少。東京商工リサーチでは、国内旅行では2016年4月の熊本地震に加え、8月に北海道・東北に甚大な被害をもたらした大型の台風10号の影響が大きく、海外旅行ではテロ事件などで欧州市場が低迷したことが影響したとしている。また、利益金合計も前年度より130億5,900万円(45.6%減)減少した155億7,100万円にとどまった。
1,700社の売上高の内訳は、1億円未満が777社(構成比45.7%)と半数近くを占めた。次いで、1億~5億円未満が619社(同36.4%)、5億~10億円未満が118社(同6.9%)。売上高10億円未満は1,514社(同89.0%)となり、中小・零細規模の業者が全体の約9割を占める結果となった。
一方、50億~100億円未満は23社(同1.3%)、100億円以上は34社(同2.0%)にとどまり、売上高100億円以上の34社の売上高合計は1兆9,518億1,300万円で、旅行業界全体の74.3%を占めた。
2016年度の売上高、利益が判明した972社をみると、規模の格差が鮮明に。売上高が1億円未満の377社のうち、「赤字」が87社(構成比23.0%)で、約4社に1社が赤字だった。一方、50~100億円未満の21社では、「赤字」は1社(同4.7%)、100億円以上の32社では3社(同9.3%)、50億円以上の53社では4社(同7.5%)にとどまった。10億円未満の812社では「赤字」が147社(同18.1%)と約2割に達している。