観光庁はこのほど、「外国人観光旅客を対象とした地方部における鉄道利用促進に向けたガイドライン」を公表した。2018年12月から2019年3月まで4回の検討会を開催していたもの。地方鉄道事業者が利用者減少と高い維持管理コストに悩まされるなか、増加する外国人観光客を取り込むための具体的なアプローチを、先進事例などを紹介しながら周知し取り組みを促す狙いだ。
まず、地方鉄道に対する外国人観光客のニーズについては、個人旅行(FIT)、リピーターの増加に伴い、地方を訪れる割合が顕著で、特に欧米豪はバスツアーより鉄道を選ぶケースが多いと指摘したほか、SNSを活用した情報発信、また日本のイメージからニーズを「作っていく」アプローチを検討してほしいなどとした。
マーケティング施策は、類似した特徴を持つ地方鉄道事業者をグルーピングして検討を行うのが効果的・効率的とし、具体的に受入環境整備重視型、観光地としてのプロモーション重視型、鉄道のプロモーション重視型、商品開発重視型の4類型を提示。普通列車を観光列車にする取り組みを図っている北海道の花咲線など事例も複数紹介している。
国による支援策の方向性については、サイクルトレインを含む観光列車の導入・運行に対する支援、観光型MaaS のあり方の検討や実証などを挙げた。なお、ガイドラインの対象は地域鉄道事業者96社およびJR、一部の大手民鉄。さらに、自治体、DMOなどが一体となり、地域への誘客促進を図ることを求めている。