米航空宇宙局(NASA)は2019年6月7日、国際宇宙ステーションを民間ビジネス利用に開放し、一般旅行者を受け入れる方針を明らかにした。早ければ2020年には、最初の旅行者の滞在が実現するとしている。このほどAP通信が報じている。
ただし利用料金や旅行者の体力など、条件面でのハードルは高くなりそうだ。宇宙ステーションまでの往復旅費は、推定5800万ドル(約64億円)、宇宙ステーションでの宿泊費は一泊当たり同3万5000ドル(約385万円)。原則として、最長30日までの滞在を認めるが、健康状態や事前のトレーニング、諸手続きなど、宇宙飛行士と同等のレベルの準備が必要になる。
宇宙ステーションまでのアクセス手段は、NASAが契約したスペースXおよびボーイング社開発によるクルー付き宇宙船に限定。旅行者は、NASAではなくこうした民間各社との間で旅行手配を行うことになる。
収容人数は、マーケットの反響を見ながら検討するとしているが、当初は年間2人までとしている。
NASAの宇宙ステーションには、2001年にカリフォルニアの実業家デニス・ティト氏が初めて民間人として訪れたのを皮切りに、その後も数人が訪れている。ただしアクセス手段には、これまではロシアのロケットが利用されていた。
関係者によると、宇宙ステーションは膨大な維持費が必要であり、国がすべて負担し続けるのは困難という。NASAでは、宇宙ステーションを民間利用に解放し、事業化するだけでなく、将来的には、これを民間企業に売却することも検討している模様だ。
一方、事業化で得た資金は、トランプ政権が2024年の実現を目指す月面着陸計画に投入する。宇宙ビジネスで収益を上げることは、米国の納税者負担を軽減することにもつながるとしている。