横浜市は2019年8月22日、日本型IR(統合型リゾート:Integrated Resort)誘致に向けた構想を正式発表した。今後、国の基本方針を受けた実施方針の策定やIR事業者決定といった本格的な検討を推進。2020年代後半の開業を想定する。
立地場所は、「山下ふ頭」を想定。広大でシンボル性の高い敷地であり、交通利便性が良く、みなとみらい21地区から続くウォーターフロントの景観などの点で、都市型リゾートして高いポテンシャルがあると判断した。
敷地内には、国内最大級のMICE施設や国際水準の上級宿泊施設、あらゆる層が楽しめる一流のエンターテイメント施設の設置を導入。そのほか、世界最高水準のカジノ規制に対応することで、ギャンブル依存症や治安悪化に取り組む環境を整備。懸念をもつ市民には丁寧な説明を継続することで理解を深めるよう進める考えだ。
横浜市では、2019年をピークに人口減少にシフトすると同時に、消費や税収の減少、社会保障費の増加といった財政状況面で課題を抱えている。また、他の都市よりも外国人宿泊者数の伸びが低く、インバウンド需要を取り込めていない状況も明らかになっていた。
そのような状況を受け、同市はIRの実現が、都市としての活力の維持や市民の安心・安全な生活を維持していくための対応策につながると判断。経済効果としては、インバウンドを含むIRへの訪問者数が年間2000万~4000万人、IR区域内での消費額を年間4500億円~7400億円と推計。建設時と運営時の間接効果を含む経済波及効果は合計1兆3800億円から2兆2000億円、雇用創出効果は年間7万7000人~12万7000人。増収効果は年間820億~1200億円を見込むとしている。
同日、米ラスベガス拠点のIR大手「ラスベガス・サンズ」は、大阪でのIR建設案件への入札を見送る意思を表明。同社は、東京と横浜に焦点を当てて投資することが最善の機会であると判断したと説明している。一方、同じくIR大手のMGMリゾーツ・インターナショナルは日本における統合型リゾートの開発方針で、大阪で開業を目指す意思が変わらないことを表明。その他、日本での開業を目指す外資IR企業は多く、誘致や入札企業の動きが活発になりそうだ。