メディカルチェック推進機構と検査キット事業を展開するICheck社は、民間主導としては初となる新型コロナワクチン接種証明アプリ「ワクパス」の提供を始める。ワクパスは、各自治体が発行するワクチン接種証明をデジタル化するアプリ。Google PlayとApp Storeで提供されるが、現在承認を待っているところ。承認され次第、リリースする。
ワクパスの目的は、ワクチン接種の促進と安心安全な社会経済活動の再開。メディカルチェック推進機構理事長の香山充弘氏は発表会見でアプリについて「企業とユーザーとの間を簡易な手続きでつなげて、社会活動を支援していくもの」と説明。ユーザーも企業も無料で利用することができる。
ワクパスのポイントは、ワクチン接種記録の管理、協賛企業によるユーザー限定の特典の提供、抗原検査キットの購入機会の提供の3点。いずれも簡素化した手続きを強みとしている。
ダウンロードしたアプリで、携帯電話番号とパスワードで会員登録を完了した後、接種済証あるいは接種記録書の情報を入力し、原本を撮影する。次に、運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど顔写真付きの本人確認書類を撮影し、プロフィール情報を入力する。
アプリ上には本人確認書類の写真のみが表示される。その他の個人情報の管理について、ICheck取締役の山口慶剛氏「十分なセキュリティ体制のもと、データサーバーで管理される」と説明した。
協賛企業については現在、アパホテル、アトム、エイチ・アイ・エス、オリーブスパ、鹿島アントラーズ、かっぱ寿司、サンワサプライ、日本たばこ産業、東京商工会議所、とりいちずの10社が参加。それぞれワクパス利用者限定に提供する特典はアプリ上でリスト化される。香山氏は、東京商工会議所の会員企業を含め、今後さらに協賛企業を増やしていく考えを示した。
また、企業側のメリットとしては、集客力の向上、安心安全な労働環境、感染対策アピールによるブランド価値の向上のほか、「QRコードなどを用いないため、ITインフラにコストをかける必要がない」(山口氏)ことも挙げた。
あくまでも民間主導の取り組みだが、今後はワクチンパスポートの発行を計画している政府や独自の特典を提供している自治体との協力も視野に入れる。
さらに、海外渡航のための証明書、陰性証明の管理、イベントなどの入場制限緩和などにも用途を広げていく方針のほか、3回目のブースター接種にも対応していく考えだ。
「ワクチン非接種者へ配慮をしながら、利用者を増やしていきたい」と香山氏。今後、同様のソリューションがリリースされる可能性があるが、「安全に社会経済活動を再開させていく方法はいくつもある。ワクパスはそのうちのひとつとして、接種済み書を電子化する方法をとった。他のソリューションを排除するものではないし、競争していく考えはない」と強調した。