三菱UFJリサーチ&コンサルティングが先ごろ、2020年のオンラインツアーの市場規模が95.9億円に上り、年間成長率約30%となったという調査結果を発表した。オンラインツアーはコロナ禍でリアル旅行の代替、またはコロナ後を見すえた旅行の予習のためのコンテンツとして普及しており、「リアル旅行とは別市場を確立した」と分析している。
調査は2021年8月24~26日、全国15歳以上でオンラインツアーをよく知り、参加経験がある人1000名から回答を得た。
1回の平均額は7900円、4割強が有料ツアー
これによると、2020年以降の1人1回あたり有料のオンラインツアーへの平均支払額は7918円で中央値は5000円。参加回数3回以上のリピーターは平均値8884円で参加回数2回以下の6622円より高いことから、最初のうちは比較的安価なツアーに参加し、リピーター化すると単価の高いツアーにも参加する様子がうかがえるという。2021年1~6月の1人あたりの参加回数は1.93回で、このうち有料ツアーは4割強だった。
回答結果からオンラインツアーの市場規模は、2020年は95.9億円、2021年は約120億円になると推計。2020 年上半期から2020 年下半期にかけて、参加回数2回以下の人の市場規模は15.9億円から12.6億円に減少したが、「緊急事態宣言が解除され、旅行を含む各種活動の制限が一時的に解除されていた期間に新規で参加する人が減った」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)。
一方で、この間もリピーターによる市場規模は拡大した。全国の緊急事態宣言の発令状況が類似している2020年上半期と2021年上半期の比較から、市場規模の年間成長率は 30%となるという。また、2020年の潜在市場規模も520億円に上る。
1年間半でタビアトの経済効果も133億円に
オンラインツアーの評価について聞いたところ、良かった点のトップは「移動時間や待機時間を伴わず観光や体験が実施できる」(65.1%)で、「下調べや各種予約を伴わず観光や体験が実施できる」(42.2%)、「安価な価格で観光や体験が実施できる」(39.1%)が続いた。
他方で悪かった点のトップは「映像が乱れたり、音声が聞き取りにくかったりした(主催者側の問題)」(34.4%)が最多。「悪かった点はない」(24.1%)との声も多かった。
また、オンラインツアー参加後に起こした行動として、30代以上の女性、男性でも高齢者は「特に何もしていない」が半数近い一方、30、40代男性は特産品購入につながった人が4割近く、地域への訪問につながった人が3割近く存在する。20 代の男女は、地域について調べたり、特産品を購入したり、そのほか1割前後だが、ふるさと納税や企業への投資、地方移住などさまざまな行動につながっているようだ。
こうした結果から、2020年以降の1年半のオンラインツアー参加者によるツアー参加後、すなわちタビアトの消費・購買行動による観光産業への経済効果は132.7億円に達していると推計。このうち、域内産業への経済効果も88.4億円に上ったとみている。